九十歳。何がめでたい

エッセイ
九十歳。何がめでたい

私の感想

 

攻めたタイトルがいいですね^ ^

この本を書いたおばあちゃんも、さぞやとんがったおばあちゃんなんだろうなと、パッと見でわかりますね。

 

内容も「最近も若者は~」「昔はよかった~」的な愚痴の寄せ集めとはわかったんですけど、では、なぜそんな本がベストセラーとなったのか、すごく気になりました。

結果…。

 

著者の佐藤愛子さんがとても愛にあふれ、愛される人だということ。そして本も不思議な温かさに包まれていました。

 

全28篇に渡って綴られる愚痴や皮肉も、佐藤さんの豊富な人生経験や知性に裏打ちされていて、決して不快には感じません。

 

とんでもないキャリアを持つ大御所作家のエッセイなので当たり前なのですが、そのカラリとしていてホロリと来る文章は絶品です。

 

ところどころで垣間見える、著者の人生哲学も圧巻。

「こんな老後の過ごし方もあるのか」と若い世代が読んでも、自分の生き方を見直す意味で佐藤さんと同世代が読んでも元気をもらえると思います。

 

と言うか、みんな、怒られたくて読むのかもしれませんね。

 

『九十歳。何がめでたい』著者:佐藤愛子

223ページ

 

 

『九十歳。何がめでたい』のレビュー

 

何より興味深かったのが、本著が「断筆宣言の後のエッセイ」だということです。著者の佐藤さんはタイトルにヤケクソの思いを込めたそうですが、私からしてみれば「ヤケクソで90のおばあちゃんが連載できるか~!?」と言ったところ!

 

本当にすばらしい歳の重ね方をしていらっしゃいますね。ヤケクソだからこそ90歳のリアルな叫びを感じられますし、明るさも元気もギュッと濃縮されています。

 

印象的だったのが、飼い犬のハナちゃんとの思い出話である「グチャグチャ飯」。ハナちゃんはもう亡くなってしまったのですが、捨て犬として出会った時のことから、お別れのことまで。そして佐藤さんへのメッセージ…。ふたりの心の交流が胸にグッときます。

 

大袈裟でなく、最近の若者よりも快活でガムシャラなんじゃないでしょうか。出鱈目や無茶を言っている訳でもないし、言いがかりをつけている訳でもないし、ワガママなだけでもない。生き方も考え方もオシャレなおばあちゃんだなぁと思いました。

 

むしろ、この気持ちは憧れです。日本人・人生の先輩としてまだまだ教わりたいこと、聞きたいことはたくさんあるのでお元気でいてください!

 

こんな人は合わないかも?

お年寄りの愚痴やお説教が嫌いな人は受け付けないでしょう。あと、佐藤さんの今までの著書のファンは、今までと違う筆致に戸惑うかもしれません。

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