■この本を読むことになったきっかけ
妊娠中に通っていた産婦人科に置いてあり、手に取りました。
たまごクラブとかひよこクラブといった雑誌類や、子供連れで訪れる人も多かったので、幼児向け絵本が並ぶ中で「絵本なのに大人向け」という非常に存在が浮いていたのを覚えています。
内容を見て、これは確かに産婦人科に置いておくのは良いかも!と感動しました。
■本のあらすじ
赤ちゃんが生まれたその日から、成長し様々な経験を経て大人になり、やがてその子も親になり年老いていくまでを描いた絵本です。
母の無償の愛がいっぱいに詰まった作品です。
■感想
ストーリーらしいストーリーが無い絵本です。赤ちゃんが生まれた日から、お母さんから注がれる愛情がひたすら綴られています。
内容が内容なだけに、絵本でありながら完全に大人向けです。
子供が読むとしても中学生くらいからが良いかもしれません。
私は普段本を読んで泣くことが無いのですが(泣くような本を読んでいないだけなのですが)これは泣きました。
ですが、初めて読んだ時と現在とだと感想が少し異なります。
私が初めて読んだ時は妊娠中だったため、まだ子供はいませんでした。その時に読んだ感想は「自分は母からこんな風に愛情を注がれてきたんだな」というものです。
自分の大して長くも無い人生を振り返り、母が自分に何をしてくれたか、自分が母に何をしてきたか、これから母に何をしてやれるんだろう…等々色んな事を考えました。
次に読んだ時は出産した後です。その時は「この子もいつか大きくなって老いていくんだな。その時、この子の中で母とはどういう存在になれるんだろう」と感じました。
子供はいつか必ず成長し親元を離れていきます。嬉しくもあり切なくもある…そんな気持ちをこの本を読んで初めて知りました。
私の母もそういう気持ちだったのだろうかと思うと、良い歳なのに母が恋しくてたまらなくなります。
親としても子としても深く読める絵本です。
ただちょっと残念なのが、男の子のお母さんは感情移入がしにくいかもしれません。挿絵がすべて女の子なのと、なんとなく娘を対象にしているような文脈がところどころあります。
あと、男性が読んでも女性ほどの感動は得られないと思います。内容があくまでも「母親からの無償の愛」ですので、息子や父親の視点からとなると感情移入が難しいと思います。
■本の中で気になった言葉、セリフ 1シーン
わたしのいとしいこ。そのときは、どうかわたしをおもいだして
最後の一節です。我が子が年老いた時、自分自身はもうこの世にいないでしょう。そんな時に、自分の子供が人生を振り返った時、お母さんのことを思い出してほしいと思うのは、親なら誰もが考える事だと思います。
また、子供の立場から見ると、それくらいの歳になると思い出の中でしかお母さんに会えないんですよね。
思い出の中のお母さんは自分が子供の頃のままで、いつでも溢れんばかりの愛を注いでくれます。それを懐かしいと思い返す事もあるでしょう。
このシーンで印象的なのが、部屋の中に生まれた時に、お母さんが赤ちゃんの指にキスをしている写真が飾ってあるという事です。
自分の子供が生まれた時の事を思い出しますし、自分はどんな風にして生まれて来たんだろうと考えたりもしました。
余談ですが、これから出産を控えている方は出産したら早いうちに(可能なら入院中に)赤ちゃんとのツーショットを撮影しておくと良いです。
退院しすぐに赤ちゃんとの生活が始まりますが、そうなると写真を撮る余裕が無くなってきます。
撮ったとしても我が子のピン写真ばっかりか、お父さんと赤ちゃん、おばあちゃんと赤ちゃん…といった感じで自分はもっぱら撮影係です。
お母さんとのツーショットは特別です。顔がどんなに疲れていてもスッピンで髪がぼっさぼさでも構いません。是非撮っておきましょう。
*この記事の執筆者は浅丸千代乃さんです*