• 投稿 2017/09/01
  • 小説

『紙の動物園』私の感想

 

本好きの読書家でなければ知らないような作家の作品ですが、著名なSFの賞を史上初の3タイトル同時受賞のキャッチコピー、そして今を輝く又吉直樹さんの推薦文付きということで、手に取る人は多かったのではいでしょうか。

 

私は日曜日のテレビ番組『アッコにおまかせ!』に出演していた又吉さんが、「夏休みの読書感想文におすすめな本は?』と聞かれた又吉さんが、この本の名前をあげたので、読むことにしました。

 

この作品は短編集なので入り込みやすかったのですが、もともと私は、

SFにはあまり興味がなく、結果としては、私が全編を読み切ることは出来ませんでした。

 

作風に、自身のバックグラウンドが色濃く反映するタイプの作者さんですね。

 

作者は小さい頃にアメリカに移住してきた過去を持ち、その中国系アメリカ人としての生い立ちが作品を魅力的にしていると感じました。アジアの香りがするSF小説はこの作者にしか書けないものでしょう。

 

アメリカに移住してきたものの英語が話せない中国人の母親と息子の話など、なかなか日本国内の作家には扱えないテーマだと思うので、新しい世界観に出会いたい方にオススメです。

次は長編に期待しています。

 

  1. 『紙の動物園』著者:ケン リュウ,    古沢 嘉通 (翻訳)

413ページ

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“ぼくの母さんは中国人だった。母さんがクリスマス・ギフトの包装紙をつかって作ってくれる折り紙の虎や水牛は、みな命を吹きこまれて生き生きと動いていた…。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝いた表題作ほか、地球へと小惑星が迫り来る日々を宇宙船の日本人乗組員が穏やかに回顧するヒューゴー賞受賞作「もののあはれ」、中国の片隅の村で出会った妖狐の娘と妖怪退治師のぼくとの触れあいを描く「良い狩りを」など、怜悧な知性と優しい眼差しが交差する全15篇を収録した、テッド・チャンに続く現代アメリカSFの新鋭がおくる日本オリジナル短篇集。” 引用:Amazon.com『紙の動物園』

 

 

ケン・リュウさんのデビュー以来の短編の中から15編が選ばれ、集められた短編集です。作者のことも作風もよくわからない最初の頃は、SFということで「難しいんだろうな」と身構えていましたが、意外にも泣ける作品ばかりでした。

 

表題作の「紙の動物園」は母と子の物語です。アメリカに移住してからも英語が話せない母親が作ってくれる折り紙の動物たち。やがてその母親と、子である主人公はすれ違っていくのですが、その「紙の動物たち」に込められた母の想いがグッときます。直接的な会話ではなく、折り紙に思いを託したところが何ともセンチメンタルでした。

 

この「英語が話せない」という部分が、やはりキーポイントでしょうね。アメリカの中で移民として暮らす人々にしかわからない感情が伝わってきて、とても考えさせられます。作者の経験談なのかはわかりませんが、少なからず移住した先でそういう思いを味わったのではないでしょうか。だから、この物語はこの作者にしか書けないと思いました。

 

他にも「文字占い師」、「良い狩りを」が泣けました。短編集ということで、それぞれかなり違うテイストのSF小説が楽しめます。これ、同じ人が書いているの?と思ってしまうぐらい、多彩です。でも、どの短編も「人と人」がテーマになっているのが印象的でした。

また、作者は日本人ではありませんが、日本に関するキーワードがいくつも出てきて親近感が湧きます。あと、何だかちょっと懐かしい感じもしました。アジアの香りがするSF小説から日本の香りも漂ってくるという新感覚な作品です。

 

5.読む必要がないと思われる人

新しいSF作品より過去のSF作品が好きな人。SFマニアな人。

 

「物語のキモ・ネタバレ」

 

・ケン・リュウの短編15篇が集められた短編集。

・表題作である「神の動物園」は中国からアメリカへ移住してきた母と、その母とアメリカ人の父の間に生まれた息子の物語。母親は自分の不思議な力で、息子のためにまるで生きているかのような折り紙の動物たちを作った。しかし母親は英語が話せなかった。やがてそのことが息子のコンプレックスとなり、二人の距離が広がっていく。

・「もののあはれ」の主人公は日本人。他の短編でも、日本を感じるキーワードやフレーズが多々登場する。

・SF小説としてくくられているが、どれも隠れたテーマとして「人間」を扱っている。