『もものかんづめ』で分かった友蔵の真実に衝撃・・

エッセイ
『もものかんづめ』で分かった友蔵の真実に衝撃・・

さくら家に本当にあったお話

 

ちびまる子ちゃんで有名なさくらももこさんの作家デビュー作です。

発行は1991年ということで、時代はまさにちびまる子ちゃんブームの渦中だったと思います。

 

内容としては、作者の子供時代の話からOLをしていたころの話、そして今現在の話までいろいろ。

 

昔のことをよく覚えているな~というのが一番の感想です。独特の視点にも感心しますし、伝え方にもセンスがあると思います。笑えるだけではなく、喜怒哀楽が詰め込まれているので、人間の哀しさ等も感じることができました。

 

ちびまる子ちゃんのお父さん”ヒロシ”は、このエッセイでも登場し、漫画のままの人なんじゃないかと思いました。

 

そのどれもが日常のとるに足らないことが題材となっているにも関わらず、笑えて笑えて、とにかく作者のセンスに脱帽です!

 

何でもないことを独特な視点で切り取る、さくらももこワールドの虜になった人が多いというのも頷けました。

 

ただ、毒の強さは気をつけておかないと違和感だけが残ってしまうかもしれません。

「メルヘン爺」や巻末インタビューは賛否両論あるそうで…。

 

実は私も大変ショック受けました。

ちびまる子ちゃんに登場するおじいちゃんは”友蔵”さんですね。

 

すっとぼけた爺さんですが、まる子にどこまでも甘く、でも優しいおじいちゃんです。

 

私の中では、きっとさくらももこさんの実のおじいちゃんも、こんな感じで、仲が良かったんだろうなと勝手に想像していました。

 

ところがです。

「メルヘン爺」では、実際のおじいちゃんがどんな人だったのか、事実が明かされます。

その内容がすごいんです。

 

友蔵って名前同じなんですが、漫画のおじいちゃんとはかけ離れた人物で・・

実際の友蔵さんは、家族から嫌われていました。

 

本文をそのまま引用しますと

祖父は全くろくでもないジジィであった。ズルクてイジワルで怠け者で、嫁イビリはするし、母も私も姉も散々な目に遭った。

 

ええええーーー?!マジっすか?

ショックを受けたのは私だけじゃないでしょう。

 

「メルヘン爺」では、友蔵が亡くなってお葬式のエピソードが書かれているのですが、悲しい話ではなく、むしろ台所の片隅で孫は笑っていたりします・・

 

この辺りの描写が批判を受ける要因ですね。なにせ。死に顔が面白いとか言うものですから(汗

 

相当嫌な爺さんだったのでしょう。。

 

漫画の中の友蔵さんは、さくらももこの憧れが反映され、あのキャラになっているのだそうです。

 

 

さくらももこさんのエッセイは、ほのぼの系とは別次元のものと捉えておきましょう。

 

『もものかんづめ』著者:さくらももこ(287ページ)

 

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先日読んだ雑誌、クロワッサン8/25号にたまたま「本のない、人生なんて。」という特集記事があったのです。

 

その中で、『何者』で直木賞を受賞した浅井リュウ氏が「もものかんづめ」のほか『さるのこしかけ』『たいのおかしら』さくらもものエッセイ3部作を取り上げ、”さくらさんは僕の憧れ”と絶賛。

 

「禁忌ですらも面白く!タブー無しの漢字がすごく印象的でした」自分も笑えて売れるエッセイを目指したいとおっしゃっていました。

 

 

本の内容

 

あらすじ“「こんなにおもしろい本があったのか!」と小学生からお年寄りまでを笑いの渦に巻き込んだ爆笑エッセイの金字塔!!著者が日常で体験した出来事に父ヒロシや母・姉など、いまやお馴染みの家族も登場し、愉快で楽しい笑いが満載の一冊です。「巻末お楽しみ対談」ではもう一度、全身が笑いのツボと化します。描き下ろしカラーイラストつき。 ”(引用:Amazon.com)

 

こんな育ち方や物の見方をしてくると、あの名作「ちびまるこちゃん」が生まれるのだと大いに納得しました。ばかばかしくて笑える!でも毒っ気もあって、そのバランスが絶妙です。

 

漫画家として有名な作者ですが、エッセイストとしての才能も感じます。人を惹きつける文章が素晴らしいと思いました。

 

ヒロシの鯉、さくら姉妹の水虫との闘い等お茶の間でウケそうな話もあれば、ビートたけしが家にやって来とか、普通の家庭ではあり得ないサプライズな場面は、漫画家って、やっぱりこっちより、あっちの方に近い人なんだなと感心してみたり。

 

息抜きにサラッと読めます。ですが、短編のひとつずつが読み応えのあるものです。

 

もものかんづめを読む前に注意

 

さくらももこという作家が「ほんわか系」だと思っている人は、あまりのギャップに驚くまも?と思いました。辛口コメントが苦手な人も、ただの身内への悪口のように感じて不快かもしれません。

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