
漫画よりドラマの方が好き
近頃では「深夜食堂」と言えば、俳優の小林薫さんの顔が出てくるくらい、馴染みのある作品になりましたね。
人気はすごいもので、テレビドラマは長く続くシリーズになり、2015年には映画化もしています。
韓国や中国でもドラマ化しているという情報は、かなり驚きました。
漫画という枠を超え、多くの人に愛されている作品です。
でも私は漫画より実写の方が好きかな?小林さんが渋くてとても素敵ですもん。
「深夜食堂」は、その独特な世界観が一番の魅力だと思います。
画風も「絵がうまい」とか「緻密」というものではなく、絵本のように味のある感じです。
このタッチで料理モノの漫画!?と、驚いた部分もありますが、不思議と読めてしまいます。
キャラクター達もデフォルメされたデザインですが、飄々と描かれていて、逆に人間くさくて好印象。
それも全部含めての、魅力的な深夜食堂ワールドと言えるでしょう。
料理がテーマの漫画ですが、決してグルメ漫画ではありません。
実は出てくる料理は平凡なモノばかり…、赤ウインナーに猫まんま、漬物。
なぜなら、物語の主役は「深夜食堂」にやって来る客達の人間模様なので、料理はその脇役となっているのです。
脇役とは言え、その人の人生には欠かせない、重要な役割を果たしているのですけどね。
この、人間と料理の関係性やバランスが絶妙です。
料理を描くことで、人間を描いているという巧みさに感動しました。
マスターの朴訥とした語り口も、物語の余計な邪魔をしていなくて丁度いいと思います。
料理って、実は、どんなに平凡なメニューでも「思い出」と一緒だから美味しいのではないでしょうか?
自分にとっての懐かしい味を探したくなりました。
人間の「せつなさ」、「侘しさ」、「哀愁」がクローズアップされている印象です。
せつなさにホロリとさせられ、人情にホロリとさせられ、読んでいると心がじんわり温かくなります。
一話完結で、一話のページ数も少なめの短編漫画ですが、とにかく余韻がすばらしいです。
短いからこそ、なのかもしれません。
忙しい毎日の中で、ふと、立ち止まりたい時、ひと休みしたい時。
そのきっかけをくれる一冊になるのではないかと思いました。
「深夜食堂」だからと、夜中に読むのは要注意。
確実にお腹が空きます!
『深夜食堂 1』著者:安倍夜郎 154ページ
深夜食堂 1購入前の注意点
独特な絵のタッチは好き嫌いが分かれると思います。特に女性は苦手かもしれません。肝心の料理があまり美味しそうに見えない・・人も居るかも。
実写版を見てから漫画を読むとそう見えなくもない。