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『ツバキ文具店』手紙書きたくなりますね

小説
『ツバキ文具店』手紙書きたくなりますね

『ツバキ文具店』感想

 

最近よく見る鎌倉モノです。

NHKでドラマ化もされていて、鳩子役は多部未華子さんでした。

 

本より先にドラマを見ていて、静かだけど、なんかいいなあ、このドラマ・・と思ったら『食堂カタツムリ』の小川糸さんじゃないですか?!

 

ああ、私はこういう類のものが好きなんだなと気づかされました。

 

舞台が鎌倉と聞くだけで、静かで穏やかな雰囲気の作品かなとイメージできますよね。

 

この作品もロケーションの素晴らしさがあちこちに散りばめられています。

ガイドブックの詳しさというよりも、鎌倉という街のふんわり感・おっとり感がキーなのでしょう。

 

そして、話の軸となる主人公・鳩子の職業「代書屋」が何ともドラマチックです。

 

手紙を出すのが代書とは、文字だけではなく、何らかの理由で手紙を書けない人の代わりに手紙を書くこと。

 

その依頼を通して、人と人とのつながり、そして鳩子自身の成長が描かれる物語となっています。

 

手紙も、伝えることも、どちらも誰かとのつながりそのものであり、作者のメッセージをそこから受け取りました。

 

手紙繋がりでは「ナミヤ雑貨店の奇蹟」と通じるところがもあるかなと思いました。

 

読んだ後の心に残るあたたかさが、大切なことを思い出させてくれる一冊です。

ゆったりと自分のペースで読み進めてみて下さい。

 

作者の小川糸さんについては「少なく贅沢に」をモットーにされていて、ご自身のライフスタイル本も出版されていますよね。

 

とても興味があります。

 

『食堂カタツムリ』は映画で観ました。

あれは手紙ではなく、食堂(食事)を介して人と人が繋がる物語。だったかな?

柴咲コウさん演じる倫子の手料理がどれもおいしそうでした。

 

『ツバキ文具店』著者:小川糸 269ページ

 

本の内容 あらすじ

 

“言いたかった ありがとう。言えなかった ごめんなさい。
伝えられなかった大切な人ヘの想い。あなたに代わって、お届けします。
家族、親友、恋人⋯⋯。
大切に想ってっているからこそ、伝わらない、伝えられなかった想いがある。
鎌倉の山のふもとにある、
小さな古い文房具屋さん「ツバキ文具店」。
店先では、主人の鳩子が、手紙の代書を請け負います。
和食屋のお品書きから、祝儀袋の名前書き、
離婚の報告、絶縁状、借金のお断りの手紙まで。
文字に関すること、なんでも承り〼。
ベストセラー『食堂かたつむり』の著者が描く、鎌倉を舞台した心温まる物語。 ”
(引用:Amazon.com)⇒さらにレビューを見る?

 

癒されます。この作品は「手紙」を中心に話が広がっていきますが、改めて、手紙がこんなにもあたたかいものなのだと、誰もが気づかされるのではないでしょうか。

 

スマホは便利ですけど、手紙もいいもんですよ。

 

気持ちを込めた手紙は、人を包み込んでくれます。手紙に込めた想いは、人を癒してくれます。その優しさが心に響きました。

 

主人公の鳩子も「代書屋」という仕事を通して、人とふれ合い、成長していきます。代書を頼む人達も、誰かとのつながりを求めている人達です。

 

物語の展開と共に、手紙が人の輪を広げていきます。それがとても心地よかったです。鳩子が代書の仕事をするうちに心を開いていく様子も、手紙という存在があるからか自然でした。

 

鳩子は本当に真摯に代書に向き合うのですが、その取り組み方がすごいです。この本で代書というマイナーな職業を知ることができました。

 

まず鳩子は依頼された手紙に心を込めるために、文房具にこだわります。依頼ごとに文房具は変える徹底ぶり。それからその人になりきり、代書をしたためる訳です。タイトルにもあるように、このこだわりの文房具も作品のキーですね。文房具の蘊蓄も楽しめました。

 

鳩子も依頼する人々も、過去や自分と向き合います。静かなストーリーですが、その姿にジンとします。作品の温かさが伝わってきて、自分も何だか手紙を書きたくなりました。

 

 

 

物語のキモ・ネタバレ

 

・主人公・鳩子は代書屋を営む祖母に反発して鎌倉を飛び出した。その祖母の葬式をきっかけに8年ぶりに鎌倉へ戻ってくる。

・初めは乗り気ではなかったが、周りの人に懇願され、ツバキ文具店を継ぐことに。そして引き継いだ代書屋の仕事を通して、いろいろな人と出会い、次第に自分とも向き合い始める。

・ラストは鳩子から天国の祖母へ向けて書いた手紙。

 

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