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ロボット・イン・ザ・ガーデンが英国版ドラえもんと言われるワケ

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ロボット・イン・ザ・ガーデンの感想

 

これも、新聞の広告に出ていて、Amazonでレビューを見たら評判が良かったので購入を決めた本でした。

 

主人公は34歳のダメ男・ベン。

 

ベンは本当にダメダメで、妻にも愛想を尽かされているのですが、庭でボロボロのロボット・タングと出会ったことにより人生が変わっていきます。

 

やはり見どころは、タングとの旅の中でベンが成長するところでしょう。

タングの可愛さと、タングの出生の秘密、そしてタングが死んでしまうのではないかというハラハラ感を味わってください。

 

タングを直すことで、自分の人生も見つめ直すベンの姿に、思わず自分自身の生き方と重ねて読んでる人もいるかも。

 

私の感想ですが、物語の内容については、ストーリー自体は分かりやすく、そこそこ面白いですが、奇抜な展開もなく、予想した通りの結末で、私としてはちょっと物足りなかったかも。

 

本より、映画にした方がいいかも知れません。

 

ロボット・イン・ザ・ガーデンは、英国版「ドラえもん」とのキャッチがついています。はじめは、ちょっと違うんじゃない?って違和感を持ちました。

 

何故ならタングは、ポケットもないし、どこでもドアも持ってない。

それに加えてワガママで、言葉もあまり話せないポンコツ君なんです。

 

ドラえもんはよく出来たロボットですよね?

でも、タングってめちゃくちゃ手がかかるんです。

読んだ人は、ベンとタングのどっちがドラエもんなの?って感じるはずです。

 

ですが、そんな疑問もタングとベンの二人の大冒険が終わった時、タングのイメージが変わりました。

「ああ、こういうことだったのか」と。

 

タングは、ドラえもんみたいに“どこでもドア”は持ってないけど、役立たずだったベンを旅に誘い出す訳です。

 

そして世界中を飛び、いろんな人に出会い、そしてタングに手を焼いた分、ベンは大きな愛を手に入れました。

 

最後に、エイミーとその赤ちゃんの父親になる決心ができたのも、タングの存在があってこそなんですよね。

 

そこが、タングがドラえもんの役割を果たしているのかな?と考えました。

 

とにかく、タングがワガママでカワイイんですけど、その読者のイメージを助けてくれているのが表紙のイラストです。

 

担当されたのは、人気イラストレーターの酒井駒子さん。

これはちょっと心をくすぐられました!

 

絵本大好きな私としては、なかなかナイスな仕掛けだと思いましたね~。

元々の酒井さんファンには気になる一冊になりますし、酒井さんを知らなくても表紙のジャケ買いが少なくないのではないでしょうか。

 

酒井さんのイラストで大成功。パッと見で作品の雰囲気が伝わってきます。

 

 

 

『ロボット・イン・ザ・ガーデン』著者:デボラ・インストール (著),    松原葉子 (翻訳)

453ページ

 

 

ロボット・イン・ザ・ガーデンの内容

かわいくて切ない英国版「ドラえもん」小説。2016年ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれた、英国版「ドラえもん」小説!AI(人工知能)の開発が進み、家事や仕事に従事するアンドロイドが日々モデルチェンジする、近未来のイギリス南部の村。法廷弁護士としてバリバリ働く妻エイミーとは対照的に、仕事も家事もせず親から譲り受けた家で漫然と過ごす34歳のベン。エイミーはそんな夫に苛立ち、夫婦はもはや崩壊寸前。ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけのロボットのタングを見つける。「四角い胴体に四角い頭」という、あまりにもレトロな風体のタング。けれど巷に溢れるアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、彼を直してやるため、作り主を探そうとアメリカに向かう。そこから、中年ダメ男と時代遅れのロボットの珍道中が始まった……。「とにかくタングがかわいい!」と世界中の読者を虜にしている、抱きしめたいほど切ない物語。(引用:Amazon.com
レビューはこちら⇒ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)

 

 

無職のダメダメ夫、34歳のベンは、どうしてタングを助ける旅に出ようと思ったんですかね?私はそこがこの作品のエンジンのようなものだと思いました。

 

ベンは、両親を亡くし、夢破れ、無気力な日々を過ごす中「変わりたい」とずっと願っていたのではないでしょうか。

それを行動に移したのだとしたら、何にもダメ男なんかじゃないですよね。

 

ベンの頼りなさはある種の優しさから来るもので、タングのために一生懸命になる姿には心を打たれました。

 

そして、そんなベンにいつの間にか感情移入してしまう、不思議な小説です。ロボットが登場するファンタジーさはありますが、ヒューマンドラマとして楽しめす。

 

何より、タングがカワイイんですよ~。

知能のベースが子供なので、本当に子連れの旅みたい。ワガママにすらキュンとしてしまいます。二人は旅の途中に東京にも寄ってくれるのですが、タングは大はしゃぎ。

 

何だかうれしかったです。ロボット故の無垢さがタングには表現されていると思います。タングと出会った人間は、タングから思いやりをもらって変わっていくのでしょうね。

 

とは言え、児童書ではないかな…と思いました。

表紙もタングも可愛いですが、ベンやエミリーの大人の事情が満載。離婚だったり、新しい彼氏だったり、赤ちゃんの父親の問題だったり。

 

ラストはハッピーエンドでも、小学生にはちょっと早いかもしれません。中高生くらいからかな?大人が、思いやりや優しさを思い出すには丁度いい作品です。

 

「心が洗われる」とはこういうことだ、と本を読んでいて感じました。

 

『ロボット・イン・ザ・ガーデン購入前の注意点』

 

ロボットやアンドロイドが出てきますが、SFというよりファンタジー小説です。それと、作者は本作がデビュー作なので、結構アラが目立ちます。ベテラン作家の作品に慣れてしまっていると気になるかもしれません。

 

物語のキモ・ネタバレ

 

・舞台は近未来のイギリス。人間とアンドロイドが共存する世界。

・獣医の夢も破れ、妻ともうまくいっていない、無職の34歳・ベン。ある日、自宅の庭でボロボロのロボットと出会う。

・ロボットの名前はタング。運命的な何かを感じたベンは、タングを直すことを決める。

・しかし、ロボットの修理に打ち込む夫を妻のエミリーは良く思わず、とうとう離婚することに。ベンはタングを作った人物を探して旅に出ることにする。

・イギリスに戻った二人を待っていたのは、妊娠したエミリーだった。

・エミリーには新しい恋人ができていたが、お腹の子の父親はわからないとのこと。

・エミリーの妊娠を言い当てたタング。急速に二人は仲良しになる。

・果たして旅の中で成長したベンが出した答えは?多分あなたが想像した通り。

夏目漱石『吾輩は猫である』の猫は最後に

小説

吾輩は猫である感想

 

「これってなんで猫なの?」

こんなシンプルな自分の中の疑問が、意外と深い問いかけだと思うのです。

 

なぜ、猫なのか。そこを掘り下げていくと、この小説を様々な角度から楽しめると思いました。

 

猫が見ている人間達は、まさに漱石が見ている人間達。

名前のない猫の人間観察から浮かび上がってくる人間の滑稽さが、この作品のメインであり軸となっています。

 

日がな一日寝ているだけと思っている猫に、逆に鋭く観察されているということが何より皮肉ですしね。

 

また、漢詩や落語などの仕掛けが織り込まれていたり、風刺がきいた人間模様が描かれていたりするので、歳を重ねてから読むとさらに味わい深くなる気がします。

 

古典作品ならではの取っつきにくさはありますが、そこさえクリアすれば、あははと笑い飛ばしながら読むのがベストではないでしょうか。

 

『吾輩は猫である』著者:夏目漱石 324ページ

 

あらすじ

 

“明治期の文学者、夏目漱石の最初の長編小説。初出は「ホトトギス」[1905(明治38)年〜1906(明治39)年]。1905年10月上篇が刊行されると20日間で売り切れたという。中学教師の珍野苦沙弥の家に飼われる、名前のない猫「吾輩」の目で、珍野一家とその周囲に集まる人々や「太平の逸民」の人間模様を鋭く風刺し、笑いとばす。落語のような語り口に乗せたユーモアは多くの読者を集め、夏目漱石の小説家としての地位を確立する記念碑的な作品となった。 ”(引用:Amazon.com)

 

 

さすが名作と言われる作品、100年以上経った今でも面白いです。この作品が最初に世に出たのは1905年…。100年前の小説で笑ったりできるってすごいと思いませんか?夏目漱石が文豪と言われる所以、そして素晴らしさがよくわかりました。

 

物語は猫の目線で進んでいきます。ですが、その全てが想像で書かれたものではなく、漱石自身が人間や社会に対して思っていることを反映させているのだと所々で感じます。

 

「猫」というワンクッションを置くことで、より客観的に現実を捉えようとしたのかもしれません。

 

さらに猫の目線だと、人間の滑稽さがはっきりと伝わってくる気もします。違う生き物を見る目は自然と厳しくなるのかな、と。

 

でも、その猫に任せたこと自体が、作品の一番のユーモアかなと思いました。

 

登場人物がかなりリアルなことも理由の一つかもしれません。漱石がどんな風に人間と向き合い、人間観察をしていたのかを伺い知ることができます。どのキャラクターも強烈で印象的です。

 

ジャンルとしては古典ですが、ストーリーもユーモアも、少しも古びていないところが何とも不思議です。それはきっと、どれだけ時代が流れても、人間というものは変わらないということの表れなのでしょう。

 

コミカルな中にも、作品の奥に漱石の哲学や問いかけがあります。この先もずっと日本人に読み続けられる小説です。

 

 

古典文学のユーモアは現代には通用しないと思っている人。はっきりとした起承転結を期待している人。

 

物語のキモ・ネタバレ

 

・ひとつずつが完結している11話が収録されている。

 

・語り手は、中学教師・珍野苦沙弥に飼われている名前のない猫。珍野家やその周りの人々を皮肉たっぷりに観察する。

 

・ラストが衝撃。猫はビールに酔っ払い、甕に落ち、水死してしまう。

三国志 ~おすすめの歴史小説

小説

フィクションの小説も面白いけど、たまには違う雰囲気のものを読んでみたい…そんな方におすすめなのが、歴史小説です。

 

歴史上の事件や人物について描かれた小説は、昔は小難しく長いというマイナスイメージを持たれがちでしたが、近年では読みやすい文章や内容のエンターテイメント作品が増えて来ており、活字に慣れていない人でも安心して楽しく読めるものが多くなってきました。

 

ちょっと歴史小説を読んでみたい…そんな歴史小説に興味を持った方におすすめの作品をご紹介していきましょう。

 

1)三国志 /北方謙三

 

時は後漢末期の中国。政治は腐敗し国は乱れた。そんな乱世で信義を貫き、野望に燃える群雄たちの興亡を描いた群雄劇。

 

三国志は中国史の中でも非常に短い時代ですが、日本では昔から大人気です。

 

三国志と言ったら吉川英治の『三国志』、漫画なら横山光輝の作品がメジャーですが、今回ご紹介する通称『北方三国志』はこれまで多くの作家が描いてきた三国志とは全く異なります。

 

これまでの三国志は「三国時代の歴史物語」や「国の興亡と英雄譚」が話の中心でしたが、この三国志は「男の生き様」が濃厚に描かれています。

 

歴史小説という体裁のハードボイルド小説と言っても過言ではありません。

 

三国志って色んな人が書いてますので、割とキャラクターのイメージが固定化されてしまっているのですが、本作はまったく新しい人物像を叩き出してくれてますので、「もう三国志は飽きたよ」と思っている方でも楽しめる作品になっています。

 

全14巻ですが、そこまで長く感じません。文章にくどさが無いので、歴史小説初心者にはおすすめです。

 

2)壬生義士伝 /浅田次郎

 

貧しさから南部藩(現在の岩手県辺り)を脱藩し、新撰組に入隊した吉村貫一郎という男がいた。守銭奴などと言われながらも、家族のために人を斬り死んでいった男の、義と愛の物語。

 

話は大正4年、ある記者の取材で複数の人物からの聞き取りという形で進んでいきます。最初は分かりにくいと感じるかもしれませんが、読み進めるうちに吉村貫一郎という男の人物像が、こんなに人によって印象が変わって来るのかと感慨深く思えてきます。

 

幕末や新撰組が舞台になっている話は、悲劇的で血生臭いものが多いのですが、本作はあくまでも「吉村貫一郎の生涯」に焦点を当てているため、歴史小説特有の猛々しさや血生臭さはありません。

 

どちらかと言うと人情物語のような印象を受けます。

 

話の内容から『永遠の0』とよく比較されるそうですが、どちらも「男の生涯」「男の生き様」を描いてはいるものの、『壬生義士伝』に関して言えば、男と言うよりは「武士道」を描いていると思います。

 

口ではなかなか説明しにくい武士道ですが、この小説を読むと「あぁ、これが武士道というものなんだなぁ」と理解できます。

 

金のために人を斬る、家族のために人を斬る、義のために人を斬る…満身創痍で切腹した吉村の生き方に涙が出ます。

ちなみに、吉村貫一郎は新撰組に実在した人物です。

 

3)馬上少年過ぐ /司馬遼太郎

 

歴史小説の大御所、司馬遼太郎の7作品から成る短編集。表題作『馬上少年過ぐ』は奥州の覇者伊達政宗の生涯を描いています。

 

その他、江戸時代末期に活躍した絵師田崎草雲、賤ケ岳七本槍の脇坂甚内の生涯を描いた短編が収録されています。

 

元々司馬遼太郎氏の文章が読みやすい上に、ひとつひとつが非常に短い話ですので、活字に慣れていない人でも短時間で読み終えることが出来ます。

 

筆者はこの短編集を読んだ時「どうしよう…伊達政宗以外あんまり知らない」と思ってしまいました。一応史学科行っていたんですがね…。

幕末辺りになるともう分からないです。

 

そんな偏った日本史知識でも、全く問題なく読み進められます。日本史まったく知らないという人でも楽しく読めるのが司馬遼太郎作品の凄いところで、本作は短編集ということもあり初心者にはおあつらえ向きです。

 

筆者がこの短編集で一番好きなのは表題作の『馬上少年過ぐ』です。題名になっている文は、政宗が詠んだ漢詩の一部です。

 

政宗は野心溢れた人物でしたが、詩歌の才もありました。司馬遼太郎氏はそんな政宗を、三国志の英雄である曹操に例えています。

 

曹操もまた頭が良く詩歌の才もあり、大胆な野心家でした。よく織田信長が曹操と比較されますが、敢えて伊達政宗を選んでいるところが面白いと思いました。

 

4)のぼうの城 /和田竜

 

天下統一を目の前にした秀吉が落とせない城があった。それは周囲を湖で囲まれた天然の要塞、忍城(おしじょう)。

 

城主の成田長親は非常に呑気な男だったが、民から「のぼう様(でくのぼう)」と呼ばれて親しまれていた。平和に暮らせたらなぁと呑気に考えていた長親だったが、ついに石田三成率いる大軍が忍城を攻めて来た…。

 

戦国時代の名勝負、忍城攻めを描いた作品で、映画版も大ヒットしました。本作は映画化する事を前提に書かれた、いわゆるノベライズ作品です。

 

それ故に非常にエンターテイメント性に優れた作品に仕上がっており、歴史小説と言うよりもライトノベルに近い作風になっています。

 

文章もキャラクターも軽いタッチで書かれており、戦国時代の知識が無くても読めるような仕上がりです。

 

話を引っ張っていくのが主人公である「のぼう様」の強烈な個性で、こののぼう様を好きになれるかどうかで小説の評価が変わってきます。

 

丹波などの周囲の人物も魅力的に描かれており、キャラクター小説としても楽しめます。
歴史小説初心者におすすめの作品ですが、歴史好きや歴史小説愛好家には不向きな作品です。

 

5)おすすめ歴史小説のまとめ

 

初心者におすすめの歴史小説をご紹介してきましたが、いかがでしたか?歴史小説を読もうと思うけど、何を読んだらいいか分からない!という方に是非一度手に取ってみてほしい作品ばかりです。

 

歴史小説も様々で、何を読めばいいか本当に困った時は「自分が好きな時代や国」を基準に選ぶのが、一番失敗しない探し方です。

 

例えば「自分は幕末の中でも新撰組が好きだ」と思ったなら、『燃えよ剣』や『壬生義士伝』を読んでみる…といった感じです。

 

好きな偉人や時代などをはっきりさせると、歴史小説は探しやすくなります。

 

日本史だと、戦国時代、江戸時代、幕末を舞台にした小説が非常に多いですね。

 

筆者は日本古代史の小説をあまり読んだことが無いので、色々と探してみたいと思っています。

 

ちなみに、歴史小説と時代小説の違いですが、「歴史小説は実在の人物を扱い、ほぼ史実通りに話が進む」「時代小説は舞台や人物は実在のものでも、フィクション寄り」となっています。

 

しかし、昔はきちんと線引きがされていたそうなのですが、現在はかなり曖昧になっているようですね。

 

執筆者 浅丸千代乃

 

運命の恋を叶えるスタンダールで恋愛初心者を卒業しよう!

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本を出してはヒットを飛ばし続ける水野啓也。

この本を読んでますます好きになりましたね。

どんだけ私を感動させてくれるんだ~でもありがとう!

 

運命の恋をかなえるスタンダール [ 水野敬也 ] 354ページ

 

この本を読むきっかけになったのは、新聞の広告です。

新聞の下の方に書籍の新刊広告があるじゃないですか?

 

私、そこを見て興味を持った本を買うことが多いんですよね。

一応レビューしてる人が居るかどうかは下調べしますが、『運命の恋を叶えるスタンダール』この本は、間違いく面白いだろうと思って電子本を買いました。

 

私自身、恋愛はそれなりに経験して来ましたが、あ・・こういうところ見習わなくちゃとか、自分本位だった過去の体験を思い出し、ちょっと恥ずかしかったです。

 

こんな私と付き合ってくれた皆さん どうもすいません。

 

運命の恋を叶えるスタンダールのあらすじ

 

ヒロインの名前は万平聡子(まんだいら さとこ)。
幼少期に父が起こしてしまった”ねつ造事件”がトラウマとなり、郷里を離れ自分の素性を隠し、一人隠れるように暮らしています。

 

聡子は大の本好きで、東京の図書館で働いています。

他人に心を開かず、興味も持たないため友達もなく、三十路を越えても恋愛経験はありません。

 

そんな聡子がある日、偶然スタンダールの『恋愛論』という本を開くと、本の中からスタンダールと名乗る髭の男が現れます。

 

スタンダールは、聡子が密かに憧れる図書館の常連”マリウス”こと、小説家の鶫涼介と恋人になれる方法を教える言います。

 

半信半疑ながらも聡子は、スタンダールによる恋のレッスンを受けることになり、自己改革の第一歩を踏み出すことになります。

 

とはいえ、聡子は、「広場恐怖」と呼ばれるパニック症を患っていて、そんな聡子にとって、スタンダールの教えを実行することは簡単なことではないんです。

 

それでも自分の中に芽吹いた恋心を諦めきれず、ついには自分の殻を破って、思い切った行動に出ます。外の世界へ飛び出していくことによって失敗もあり、今まで得たことのない快感も体験したり、聡子はどんどん変わります。

 

そして最後に自分の過去とも向き合うようになり、20年ぶりに実家へ帰り、そこで父の本当の思いを知ることになります。

過去の呪縛から解放された聡子は、彼に真実を話す決心をします。

 

絶望は幸福への伏線である

 

スタンダールの恋愛論からいろんなノウハウが飛び出してきますが、人によって刺さる文句は違うんでしょうね。

 

「絶望は幸福への伏線である」これはスタンダールが作ったものじゃないんですが、とても深いです。

 

不運なこと、理不尽な目にあったとしても、それこそが、その先に続く幸福へと繋がっている そんな風に考えたら、少々の不幸は乗り越えられるのかも知れません。

 

外見で魅力のある個所を100個見つけなさいとか、一見無理だよそんなの!と思えるようなことでも、ヒロインの聡子は体のパーツ全てはハリウッド女優に例えることで、誉め言葉に変わることを発見しました。

 

こうして自分の長所を伸ばしてどんどん外見に自信がついていくんですね。

でも、外見はあくまで「看板」であり、大切なのは中味です。

 

だからといって、男に合わせるのではなく、悪女的な遊び心で「この女は手に入れる価値がある」と思わせ虜にする。

 

この通り出来るかどうかは別にして、やってみる価値ありだと思います。

 

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