月別:2017年10月

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わたなべぽん『やめてみた』私も掃除機やめてみた!

エッセイ - 漫画

やめてみたを読んだ感想

 

わたなべぽんさんのコミックエッセイです。

断捨離やミニマリズムをオススメしている人って、共通して「いらないものを捨てたら、本当に必要なものがわかった」とおっしゃってますよね?

 

この共通点を見つけた時、ちょっと人生観が変わります。

「何かを捨てる=粗末にする」ということではないんだなぁ、と。

こちらの本の著者、わたなべぽんさんも様々な経験を経て、同じように結論づけています。

 

ただ、ぽんさんの場合、ものの断捨離ではなく「生き方の断捨離」のように思いました。

なにをやめたのか、実に気になるタイトルです。

 

まず…、炊飯器も掃除機もまだまだ手放せないので、便利さを手放す人は「どういう考えなのか」、「どういう生活になるのか」を勉強しました。

 

断捨離のハウツー本ではなく、コミックエッセイなので、そこは注意しましょう。

元々、自分をコントロールできる人は、本著を読んでも得られるものは少ないかもしれません。

 

土鍋でご飯、マネするにはなかなかにハードルが高いですが「炊飯器が壊れたから土鍋で炊いてみたら思った以上に美味しかったよ!」という考え方が明るくてステキですね。

 

しかも、手間のかかる土鍋を使うことで、時間の使い方も変わったのだとか。

掃除機をやめたエピソードも「やめたらこんないいことがあったよ~」と、ぽんさんらしさ全開で、前向きに暮らすことの大切さを思い出させてくれます。

 

実は私も3階建ての家に引っ越ししてから掃除機を使うのをやめて、ホウキとフロアワイパーのみを使っています。

 

軽いし電気もコードもコンセントも不要!、ものすごく便利です。なんで今まで気づかなかったんだろう?って感じですよ。

 

あと止めたいなと思っているのは「年賀状」ですね・・。

あと何年かしたらやめよう。

 

他にも、炊飯器から人間関係まで、やめてみたアレコレがたくさん紹介されていて、ぽんさんのポジティブライフを存分に知ることができました。

 

この本を読んでの一番の収穫は、まさに「発想の転換」と「意識改革」だと思います。

 

著者のぽんさんは、のほほんとしたマイペースな人なのかと思いきや、けっこうネガティブなところもあって、人見知りな性格や、スケジュールが少なくてひけ目を感じてるところを見て「あ、私と同じだ」と思ったら急に親近感が湧いてきました。

 

無理して人に合わさなくてもいいんだ

自分が楽しいと思えることや充実感は他人と違って当然、私はわたしの道をいけばいい。

 

その辺りの意識の変化には共感が持てました。

いろいろな変化を前向きに自分らしく受け入れていく姿勢は見習っていいと思います。

 

そして、このエッセイで、自分のマイナスな部分をきちんとさらけ出しているところもとても好感が持てました。

 

やめてみる、やめてみたら、生活が楽になるし、自信が持てるようになる。

これからの考え方のお手本にしたい一冊です。

 

『やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方』著者:わたなべぽん

118ページ

 

本の内容

 

『やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方』
累計30万部を突破した『スリム美人の生活習慣を真似したら 1年間で30キロ痩せました』シリーズをはじめ、『ダメな自分を認めたら 部屋がキレイになりました』など、体を張って人生の苦手克服をし続けているわたなべぽんの実録コミックエッセイ最新刊です。これまで当たり前のように使ってきた道具や、こうしなきゃ・・・と思っていたこと、つい囚われてしまう考え方の癖、そういったものを1つ1つ仕分けして「やめて」みる。そんな試行錯誤を繰り返しているうちに、いつしか生きるのがラクになっていく、そんな著者のクスっと笑える奮闘を描いています。読んでいるうちに心の中からすっきりしていく1冊です。
  • 第一章 家の中から、やめてみた

第一話 炊飯器の巻/第二話 テレビの巻/第三話 そうじ機の巻/第四話 ゴミ箱の巻
第二章 身の回りのもので、やめてみた
第五話 メイクの巻/第六話 服の巻 その1/第七話 服の巻 その2/第八話 コンビニの巻/第九話 スマートフォンの巻
第三章 心の中も、やめてみた
第十話 もやもや人間関係の巻/第十一話 お詫びの巻/第十二話 「充実させなきゃ」の巻(引用:Amazon.com)

 

『やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方購入前の注意点』

働くお母さんに「土鍋ごはん」はなかなか厳しいですよね…。私はテレビは絶対手放せないですし、長財布も好きなんです。

 

ぽんさんの考えや実践を参考にできる人は結構限られてくると思います。

ゴミ処理の話についても賛否両論ありそうです。

 

でも手放せない=断捨離に向いてない・・とはちょっと違うと思います。

自分にとって必要なものは他の人とは違うのだから。

 

ぽんさんの『やめてみた』の続編として『もっとやめてみた』も出てます。

 

『ナミヤ雑貨店の奇跡』主なロケ地はココです

小説 - 映画

ナミヤ雑貨店のロケ地はどこ?

 

映画を観る楽しみの一つでもあるのですが、

「どこで撮影してるんだろう?」ってロケ地がどこなのか気になりますよね。

エンドロールで確かめるようにしているのですが、流れてしまうので覚えられないんですよね。

 

ロケ地の多くは大分県にある豊後高田(ぶんごたかだ)市です。

はじめて見た地名だったので「トヨゴタカダ」と覚えてしまっていましたが、調べてみたら正しい読みは”ぶんごたかだし”ですね。

 

この街では観光の一環として、歴史や文化・伝統行事に触れることができる町として、昭和30年代の街並みを再現しています。

 

すごいなあ!あのボンネットバス(劇中で登場した赤バス)もほんものですよ~。

 

映画のロケ地になったのは今回が初めて、ということで地元の応援も盛り上がったみたいですね。なにせ主演はジャニーズの山田涼介ですから。

 

さて、そんな豊後高田市のロケ地の中で、一番気になったのがナミヤ雑貨店の本体ではないでしょうか。セットなのか本物のお店なのか?

 

豊後高田ならば残ってそうな気もしますが、でも、あれは一軒丸ごと地元の工務店の方に依頼して宮町商店街の隅っこに建築したんだそうです。

 

なんの違和感もなく、土地にマッチしまくっていて地元の人も驚いていたとか、撮影終了後は取り壊されてしまったということなのでちょっと寂しいですね。

 

商店街と言えば、もう一つ、昭和のノスタルジー感たっぷりの商店街を敦也たちが必死で走って町を出ようとしますが、もとの戻ってしまう、街灯がポンポンと順番に敦也たちを追うように点灯していきますが、それも商店街の協力してもらって出来たシーンです。

 

あれは絶対CGだろうなと思ったのに。

 

 

魚屋ミュージシャンの実家の魚屋さんは、今現在も営業中。「中野鮮魚店」さんです。

劇中の店名は「魚松」でしたね。

 

セリが育った施設旧丸光園はセットでで、火事のシーンでは実際に燃やしたそうです。迫力ありましたもんね。

 

あそこで魚屋ミュージシャンが死んでしまうなんて意外でした・・。

成長したセリが海岸でダンスするシーンがありましたが、ロケ地は真玉海岸です。

 

その他、温泉や宿泊、グルメなど他にもいろいろ楽しめそうです。

映画のパンフレットには”★ナミヤ雑貨店を桂橋の近くで再現中!2018年3月まで公開予定”とあります。これは、別な形で?ということでしょうか?

 

豊後高田市には公式観光サイトがあります。

こちら⇒昭和の町・豊後高田市公式観光サイト

 

ロケ地マップあり。一度ご覧になってはいかがでしょうか^ ^

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』映画の後で原作を読む

小説 - 映画

ナミヤ雑貨店の奇蹟を読んだ感想

 

東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が映画化され大ヒットしています。

 

映画を先に見るか、原作読んでから映画を観るか、いつも悩むのですが、今回は映画を先に観ました。

 

映画では、ジャニーズの山田涼介君が、果たして東野作品でどんな演技を見せているのかが楽しみでもありましたが、それはそれは見事に演じ切っていました。アイドルからよくここまで・・とびっくりです。

 

映画の感想はこちら

映画『ナミヤ雑貨店の奇跡山田涼介の成長ぶりにときめく』の記事で。

 

映画の中では掴めなかったところを小説の方で補ってあげると、また映画を観たくなります。

 

この作品は、ミステリーというよりはファンタジー、不思議系のミステリーでした。

「いつもの東野先生の感じ」と思う人と「いつもとちょっとテイストが違う」と思う人、真っ二つに分かれるかもしれません。

 

私も「ナミヤ雑貨店」に関しては、殺人事件を扱う刑事ものとは違うようなので、どんな内容なのかが気にはなりつつも、映画化されるまでは読もうと思わなかったのです。

 

構成が面白く、章ごとに異なる人物のエピソードが描かれ、オムニバス形式の小説です。

しかし、それぞれが全く関わりのない話ではなくて、少しずつ少しずつ、物語の糸が絡み、新たな流れとなってラストへ向かっていきます。

 

この伏線の回収ぶりは、さすがに見事でしたね~。

複雑なのに難解ではなく読みやすい、これぞまさにエンタテイメント小説といった印象を受けました。

 

丸光園とのつながり

 

映画では3人の生い立ちについては説明がなかったですが、小説では深い事情が描かれています。

どの子もかわいそうで・・胸が痛くなりました。

現在でも児童虐待のニュースが絶えませんが、まさに敦也の幼少期はその状況にあり、空腹に耐えかね、万引きせざるおえなかった・・。

 

そんな過去を知ると、映画でも3人が口論になるシーンでの敦也がみせた悲しげな表情がなにを物語っていたのかが分かるのです。

 

“迷える子犬”の晴美も丸光園の出身ではありますが、大叔母夫妻に引き取られ、実の娘同然に愛情を注がれたようです。

 

もともと資産家だった大叔母夫妻の家が、なぜ経済的な窮地に陥っていたのは、映画では詳細は分かりませんでしたが、実の娘夫婦の散財が原因だったとは・・物語の中でのこととはいえ、敦也たちの家庭環境にしても、晴美が背負ってるものも、まともにリアルにあることなんですよね。

 

ナミヤ雑貨店のキーとなるのが「つながり」だと思います。

 

過去と現在のつながり、手紙を通じたつながり、そして人と人とのつながり。

ありえないことが起こり続けますが、軸はヒューマンドラマなので、ファンタジーが苦手な人も、この「つながり」に心が温かくなるはずです。

 

時を越えて人と人がつながっていく展開は、まさに美しい「奇蹟」でした。

ナミヤ雑貨店と養護施設の丸光園を巡る人々の優しさや温もりが、私たちの心にそっと語りかけてきます。

 

「私にも、誰かのためにできることがあるだろうか」

自分の中の「人を想う気持ち」に、静かに向き合わせてくれました。

 

話のメインとなるお悩み相談から登場人物たちの喜びや苦悩が浮き上がり、愛や幸せといった、人生における大切なことについて考えさせられます。

 

過去からのメッセージが主人公たちの未来へどうつながっていくのか、爽やかな余韻が味わえる作品です。

 

『ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)』著者:東野圭吾

413ページ

本の内容

 

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
東野作品史上、もっとも泣ける感動ミステリー、待望の文庫化!
悩み相談、未来を知ってる私にお任せください。少年3人が忍び込んだ廃屋。そこは過去と未来が手紙でつながる不思議な雑貨店だった。悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函されたのか? 3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くが……。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?(引用:Amazon.com)

 

『ナミヤ雑貨店の奇蹟 購入前の注意点』

 

娯楽小説なので、深く噛み締めるような味わいはあまりありません。完璧すぎるというか、ご都合主義だと言われれば そうかも知れません。

ミステリー好きな人には文章の読みやすさが逆に軽くて、物足りないかも知れません。

 

あと、タイトルがちょっとベタ過ぎました。(作家でもないのにすいません^ ^;

 

物語のあらすじ・ネタバレ

 

・過去と現在を行き来する不思議な手紙のやり取りが軸となる物語。

・盗みを働いた訳アリ少年3人が、かつてナミヤ雑貨店だった廃屋に逃げ込むところから話は始まる。

・突然、投げ込まれた一通の手紙。やがて、その手紙は過去から届いたものだと判明する。手紙の内容は、差出人からの悩みの相談。こちらからの返事は牛乳箱に入れると向こうに届くことも分かり、3人は過去との手紙のやり取りを始めた。

・物語が進んでいく中、段々と見えてくるのはナミヤ雑貨店と養護施設「丸光園」の関係。丸光園は3人が育った場所だが、それぞれの手紙の差出人たちとも深く関わっている。

・ナミヤ雑貨店の主人で、悩み相談を請け負っていたのは浪矢雄治。

・病気になった雄治は息子の貴之に「ナミヤ雑貨店で一晩過ごさせてほしい」と頼み、自分の33回忌に一晩だけ雑貨店を復活させてほしいという手紙を渡す。

・この雄治の願いが、物語のカギとなり、ナミヤ雑貨店において過去と現在がつながる奇蹟を生み出す。少年3人が廃屋へ逃げ込んだ日が、復活の夜だった。

・結果、雄治の元には悩み相談をしてきた人物からの未来の手紙が届き、自分のアドバイスが役に立っていたのだと雄治は安堵した。

・手紙のやり取りを通じて、少年たち3人は自分たちが盗みに入った女性が相談してきた差出人の一人だと気付き、彼女と丸光園との関係も明かされていく。そして、自首することを決意する。

『コンビニ人間』小説としては面白い、でも最後まで気持ち悪かった

映画

コンビニ人間の読書感想

 

平成28年上半期、第155回芥川賞受賞作です。

作者の村田沙耶香さんのプロフィールがなかなかに風変わりで、本と共にかなり話題になったため、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか?

 

それはズバリ、小説の主人公と同じで「30代半ばの独身女性、職業はコンビニのアルバイト」というもの。

「どこが変わっているの?」、「じゃあ、何が普通なの?」…なんて言う声が聞こえてきそうですね。

 

実際、私もそう思ったひとりですが、実はこの疑問こそがこの小説の本質でした。

村田さんの経歴や経験が存分に活かされ、リアリティは抜群。

 

日本の現代社会の問題点、現代女性の中の闇がぎゅっと凝縮されているような気がします。

かなり重く暗いテーマを扱っていますが、文体はさらっと軽く、笑えるシーンすらあります。

 

これは村田さんの作風の妙だと思いました。

「周りから浮かないようにするために浮いてしまっている」主人公・古倉さんの不思議さも、こうした作品の雰囲気が際立たせています。

 

古倉さんは…ちょっと、いや結構、怖いです。

 

嬉しいとか、楽しいとか、寂しいとか、そんな感情が一切描かれていないので

人間味が無さすぎて、自分の考えからは程遠くて…。

 

どれだけ歩み寄っても分かり合えなさそうな部分が不気味に感じているのだと思います。

でも、まったくの他人事とも思えないのです。

 

そして、ちょっと羨ましくもあるのです。

「周囲にどう見られているか」、「空気を読まなきゃ」と気にすることは当たり前のマナーだと信じてきましたが、それはもしかして無意識のうちに自分を殺しているのかも…と気付かされました。

 

極端ながらも、少数派ながらも、きちんとしたオリジナルの思想を持つ古倉さんの姿に揺さぶられます。

 

白羽さんが登場した時には、ちょこっと期待もしたのです。

 

この人が古倉さんを救ってくれる王子様になるのかな?なんて、あっさりとこの期待は裏切られ、この後自分のアホさ、薄さが情けなくなりました・・

 

白羽さん、王子様どころか、どこまでいってもキモイです。

 

自分にとっての幸せってなんでしょうね?

普通ってなんでしょうね?

 

古倉さんも異常なまでにこだわる「普通な人」でなければ、この社会で生きていく資格はないのでしょうか?

 

古倉さんは確かに普通ではありません。

しかし、彼女の苦悩は多くの人が共感するものだというところに、今の世の中の難しさが垣間見えます。

 

不気味さを感じながらも、主人公の生活が気になって仕方ない、共感?というか、現代社会の矛盾や歪んだ常識に支配されている自分に気づかされたりもするけど、やっぱり、共感はできないです。

 

でも、この物語が、主人公が最後にどこに行きつくのか?

それが気になって、一気に読んでいました。

 

登場人物の古倉さんにも白羽さんの特異な生態にも衝撃を受けたのですが、何より作者の村田さんの視点が衝撃的です。

 

果たして村田さんにはこの世界がどう見えているのか…、正しさというものが分からなくなってきますし、自分の視界がどれだけ狭いのかを思い知らされました。

 

私は世間一般の「普通」に慣れきっています。

ただ、それを「正常」ということにすり替えないようにしようとこの小説を読んで決めました。

 

価値観は人それぞれ、正しさの基準も人それぞれ。

「普通」でない人を理解することはできなくても、そこに修正や矯正を求めることは決して誰にも許されることではないのです。

 

『コンビニ人間』著者:村田 沙耶香 160ページ

 

 

本の内容 あらすじ

『コンビニ人間』
第155回芥川賞受賞作!
36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。現代の実存を問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。

 

『コンビニ人間購入前の注意点』

 

今まさに生きづらさを感じている人は注意して下さい。

主人公にどっぷりと同調してしまうと余計に気分が暗くなると思います。

 

小説の世界に入り込みやすい作品ですが、フィクションはフィクションと割り切りましょう。また、ほっこり日常ドラマではなく内容も明るくない、でもラストはあっさり、とモヤモヤ感が残るかもしれません。

 

物語のキモ・ネタバレ

 

・主人公の古倉恵子は36歳、独身、職業はコンビニのアルバイト。就職はしなかった。

・恵子は幼い頃から自分が「普通」でないという自覚があり、どうすれば周囲の人間と同じ「普通の人」になれるかを考えている。

・そんな恵子が出会ったのがコンビニである。コンビニの仕事が自分に「普通」を与えてくれると気付き、恵子はコンビニ自体に没頭する。

・しかし、36歳独身未婚でコンビニアルバイトの恵子を、周りは心配する。が、実際は変な風に思っている。

・ある日、白羽という男性がコンビニにバイトとしてやって来る。ここから物語が動き出す。

・バイトを始めた目的は婚活と言った白羽だったが、ある事件をきっかけに解雇され、さらにその後、恵子と白羽は同居生活を始める。同棲していることにすれば便利だと恵子は思った。