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『ナミヤ雑貨店の奇蹟』映画の後で原作を読む

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』映画の後で原作を読む

ナミヤ雑貨店の奇蹟を読んだ感想

 

東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が映画化され大ヒットしています。

 

映画を先に見るか、原作読んでから映画を観るか、いつも悩むのですが、今回は映画を先に観ました。

 

映画では、ジャニーズの山田涼介君が、果たして東野作品でどんな演技を見せているのかが楽しみでもありましたが、それはそれは見事に演じ切っていました。アイドルからよくここまで・・とびっくりです。

 

映画の感想はこちら

映画『ナミヤ雑貨店の奇跡山田涼介の成長ぶりにときめく』の記事で。

 

映画の中では掴めなかったところを小説の方で補ってあげると、また映画を観たくなります。

 

この作品は、ミステリーというよりはファンタジー、不思議系のミステリーでした。

「いつもの東野先生の感じ」と思う人と「いつもとちょっとテイストが違う」と思う人、真っ二つに分かれるかもしれません。

 

私も「ナミヤ雑貨店」に関しては、殺人事件を扱う刑事ものとは違うようなので、どんな内容なのかが気にはなりつつも、映画化されるまでは読もうと思わなかったのです。

 

構成が面白く、章ごとに異なる人物のエピソードが描かれ、オムニバス形式の小説です。

しかし、それぞれが全く関わりのない話ではなくて、少しずつ少しずつ、物語の糸が絡み、新たな流れとなってラストへ向かっていきます。

 

この伏線の回収ぶりは、さすがに見事でしたね~。

複雑なのに難解ではなく読みやすい、これぞまさにエンタテイメント小説といった印象を受けました。

 

丸光園とのつながり

 

映画では3人の生い立ちについては説明がなかったですが、小説では深い事情が描かれています。

どの子もかわいそうで・・胸が痛くなりました。

現在でも児童虐待のニュースが絶えませんが、まさに敦也の幼少期はその状況にあり、空腹に耐えかね、万引きせざるおえなかった・・。

 

そんな過去を知ると、映画でも3人が口論になるシーンでの敦也がみせた悲しげな表情がなにを物語っていたのかが分かるのです。

 

“迷える子犬”の晴美も丸光園の出身ではありますが、大叔母夫妻に引き取られ、実の娘同然に愛情を注がれたようです。

 

もともと資産家だった大叔母夫妻の家が、なぜ経済的な窮地に陥っていたのは、映画では詳細は分かりませんでしたが、実の娘夫婦の散財が原因だったとは・・物語の中でのこととはいえ、敦也たちの家庭環境にしても、晴美が背負ってるものも、まともにリアルにあることなんですよね。

 

ナミヤ雑貨店のキーとなるのが「つながり」だと思います。

 

過去と現在のつながり、手紙を通じたつながり、そして人と人とのつながり。

ありえないことが起こり続けますが、軸はヒューマンドラマなので、ファンタジーが苦手な人も、この「つながり」に心が温かくなるはずです。

 

時を越えて人と人がつながっていく展開は、まさに美しい「奇蹟」でした。

ナミヤ雑貨店と養護施設の丸光園を巡る人々の優しさや温もりが、私たちの心にそっと語りかけてきます。

 

「私にも、誰かのためにできることがあるだろうか」

自分の中の「人を想う気持ち」に、静かに向き合わせてくれました。

 

話のメインとなるお悩み相談から登場人物たちの喜びや苦悩が浮き上がり、愛や幸せといった、人生における大切なことについて考えさせられます。

 

過去からのメッセージが主人公たちの未来へどうつながっていくのか、爽やかな余韻が味わえる作品です。

 

『ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)』著者:東野圭吾

413ページ

本の内容

 

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
東野作品史上、もっとも泣ける感動ミステリー、待望の文庫化!
悩み相談、未来を知ってる私にお任せください。少年3人が忍び込んだ廃屋。そこは過去と未来が手紙でつながる不思議な雑貨店だった。悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函されたのか? 3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くが……。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?(引用:Amazon.com)

 

『ナミヤ雑貨店の奇蹟 購入前の注意点』

 

娯楽小説なので、深く噛み締めるような味わいはあまりありません。完璧すぎるというか、ご都合主義だと言われれば そうかも知れません。

ミステリー好きな人には文章の読みやすさが逆に軽くて、物足りないかも知れません。

 

あと、タイトルがちょっとベタ過ぎました。(作家でもないのにすいません^ ^;

 

物語のあらすじ・ネタバレ

 

・過去と現在を行き来する不思議な手紙のやり取りが軸となる物語。

・盗みを働いた訳アリ少年3人が、かつてナミヤ雑貨店だった廃屋に逃げ込むところから話は始まる。

・突然、投げ込まれた一通の手紙。やがて、その手紙は過去から届いたものだと判明する。手紙の内容は、差出人からの悩みの相談。こちらからの返事は牛乳箱に入れると向こうに届くことも分かり、3人は過去との手紙のやり取りを始めた。

・物語が進んでいく中、段々と見えてくるのはナミヤ雑貨店と養護施設「丸光園」の関係。丸光園は3人が育った場所だが、それぞれの手紙の差出人たちとも深く関わっている。

・ナミヤ雑貨店の主人で、悩み相談を請け負っていたのは浪矢雄治。

・病気になった雄治は息子の貴之に「ナミヤ雑貨店で一晩過ごさせてほしい」と頼み、自分の33回忌に一晩だけ雑貨店を復活させてほしいという手紙を渡す。

・この雄治の願いが、物語のカギとなり、ナミヤ雑貨店において過去と現在がつながる奇蹟を生み出す。少年3人が廃屋へ逃げ込んだ日が、復活の夜だった。

・結果、雄治の元には悩み相談をしてきた人物からの未来の手紙が届き、自分のアドバイスが役に立っていたのだと雄治は安堵した。

・手紙のやり取りを通じて、少年たち3人は自分たちが盗みに入った女性が相談してきた差出人の一人だと気付き、彼女と丸光園との関係も明かされていく。そして、自首することを決意する。

『コンビニ人間』小説としては面白い、でも最後まで気持ち悪かった

  • 投稿 2017/10/24
  • 映画
『コンビニ人間』小説としては面白い、でも最後まで気持ち悪かった

コンビニ人間の読書感想

 

平成28年上半期、第155回芥川賞受賞作です。

作者の村田沙耶香さんのプロフィールがなかなかに風変わりで、本と共にかなり話題になったため、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか?

 

それはズバリ、小説の主人公と同じで「30代半ばの独身女性、職業はコンビニのアルバイト」というもの。

「どこが変わっているの?」、「じゃあ、何が普通なの?」…なんて言う声が聞こえてきそうですね。

 

実際、私もそう思ったひとりですが、実はこの疑問こそがこの小説の本質でした。

村田さんの経歴や経験が存分に活かされ、リアリティは抜群。

 

日本の現代社会の問題点、現代女性の中の闇がぎゅっと凝縮されているような気がします。

かなり重く暗いテーマを扱っていますが、文体はさらっと軽く、笑えるシーンすらあります。

 

これは村田さんの作風の妙だと思いました。

「周りから浮かないようにするために浮いてしまっている」主人公・古倉さんの不思議さも、こうした作品の雰囲気が際立たせています。

 

古倉さんは…ちょっと、いや結構、怖いです。

 

嬉しいとか、楽しいとか、寂しいとか、そんな感情が一切描かれていないので

人間味が無さすぎて、自分の考えからは程遠くて…。

 

どれだけ歩み寄っても分かり合えなさそうな部分が不気味に感じているのだと思います。

でも、まったくの他人事とも思えないのです。

 

そして、ちょっと羨ましくもあるのです。

「周囲にどう見られているか」、「空気を読まなきゃ」と気にすることは当たり前のマナーだと信じてきましたが、それはもしかして無意識のうちに自分を殺しているのかも…と気付かされました。

 

極端ながらも、少数派ながらも、きちんとしたオリジナルの思想を持つ古倉さんの姿に揺さぶられます。

 

白羽さんが登場した時には、ちょこっと期待もしたのです。

 

この人が古倉さんを救ってくれる王子様になるのかな?なんて、あっさりとこの期待は裏切られ、この後自分のアホさ、薄さが情けなくなりました・・

 

白羽さん、王子様どころか、どこまでいってもキモイです。

 

自分にとっての幸せってなんでしょうね?

普通ってなんでしょうね?

 

古倉さんも異常なまでにこだわる「普通な人」でなければ、この社会で生きていく資格はないのでしょうか?

 

古倉さんは確かに普通ではありません。

しかし、彼女の苦悩は多くの人が共感するものだというところに、今の世の中の難しさが垣間見えます。

 

不気味さを感じながらも、主人公の生活が気になって仕方ない、共感?というか、現代社会の矛盾や歪んだ常識に支配されている自分に気づかされたりもするけど、やっぱり、共感はできないです。

 

でも、この物語が、主人公が最後にどこに行きつくのか?

それが気になって、一気に読んでいました。

 

登場人物の古倉さんにも白羽さんの特異な生態にも衝撃を受けたのですが、何より作者の村田さんの視点が衝撃的です。

 

果たして村田さんにはこの世界がどう見えているのか…、正しさというものが分からなくなってきますし、自分の視界がどれだけ狭いのかを思い知らされました。

 

私は世間一般の「普通」に慣れきっています。

ただ、それを「正常」ということにすり替えないようにしようとこの小説を読んで決めました。

 

価値観は人それぞれ、正しさの基準も人それぞれ。

「普通」でない人を理解することはできなくても、そこに修正や矯正を求めることは決して誰にも許されることではないのです。

 

『コンビニ人間』著者:村田 沙耶香 160ページ

 

 

本の内容 あらすじ

『コンビニ人間』
第155回芥川賞受賞作!
36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。現代の実存を問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。

 

『コンビニ人間購入前の注意点』

 

今まさに生きづらさを感じている人は注意して下さい。

主人公にどっぷりと同調してしまうと余計に気分が暗くなると思います。

 

小説の世界に入り込みやすい作品ですが、フィクションはフィクションと割り切りましょう。また、ほっこり日常ドラマではなく内容も明るくない、でもラストはあっさり、とモヤモヤ感が残るかもしれません。

 

物語のキモ・ネタバレ

 

・主人公の古倉恵子は36歳、独身、職業はコンビニのアルバイト。就職はしなかった。

・恵子は幼い頃から自分が「普通」でないという自覚があり、どうすれば周囲の人間と同じ「普通の人」になれるかを考えている。

・そんな恵子が出会ったのがコンビニである。コンビニの仕事が自分に「普通」を与えてくれると気付き、恵子はコンビニ自体に没頭する。

・しかし、36歳独身未婚でコンビニアルバイトの恵子を、周りは心配する。が、実際は変な風に思っている。

・ある日、白羽という男性がコンビニにバイトとしてやって来る。ここから物語が動き出す。

・バイトを始めた目的は婚活と言った白羽だったが、ある事件をきっかけに解雇され、さらにその後、恵子と白羽は同居生活を始める。同棲していることにすれば便利だと恵子は思った。

 

映画『ナミヤ雑貨店の奇跡』山田涼介の成長ぶりに心ときめく

映画『ナミヤ雑貨店の奇跡』山田涼介の成長ぶりに心ときめく

映画『ナミヤ雑貨店の奇跡』感想

 

テレビのドラマや映画では観たことあるけど、小説自体はまだ読んだことはないんです。この度映画を観たので原作も読んでみたいと思いました。

 

“東野作品史上、もっとも泣ける感動ミステリー”

こんなキャッチフレーズがついているので、ずっとずっと気になっていた小説ではあったのだけど、ミステリー小説と「感動」と「涙」という言葉がなかなか結びつかなかったかったんですね。

 

映画を観た感想は・・ミステリーじゃなくて、ファンタジーですよね。

そして敦也役を演じた山田涼介くん(Hey! Say! JUMP)がカッコイイ。

映画では『暗殺教室』の実写版でもお顔は拝見しております。

 

少し前までは、カワイイだけのアイドルかと思っていたら、予想外に成長していて、いい役者さんになりましたねえ!オバサンもびっくりです。

 

私が持ってる山田君のイメージは、スイーツ好きの今ドキ男子という印象が強く、今回の悪ぶった役とのギャップで少なからず驚かされました。

 

どっちが素と近いんだろう?とか、そんなことがむちゃくちゃ気になりました。

 

俳優としての山田涼介については、映画界の大御所・西田敏行さんに「ジェームズ・ディーンの出現に近いものを感じる」と言わしめたのだから本物です。

 

とにかく、初めから最後まで見惚れちゃいましたね(笑)

 

肝心の物語の方はどうなんだ?というと、色々な人の思いや切なさ、優しさがじわじわ~と心に沁み入り、『東野作品史上、もっとも泣ける感動ミステリー』のキャッチに偽りはないでしょう。

 

ナミヤ雑貨店の奇跡東野圭吾パンフレット

 

またlineやメールではなく、手紙が持つ本来の役割をも、そっと現代人に伝えてくれてるような気がします。

 

心を打つ手紙を扱った作品と言えば、小川糸さんの『ツバキ文具店』を思い出します。

あの小説もやはり、手書きの【手紙】です。タイムスリップはしませんが、何かが降りて来ます(笑)

 

この辺りの意味するところは、やはりスマホやSNSへ対する何かですかねえ?

 

さて、映画ナミヤ雑貨店は、いきなり3人の強盗シーンから始まって、雑貨店に着いたらシャッターの向こう側は昭和の時代に逆戻りしていて、そこから何人かと手紙のやりとりが始まるのですが、魚屋ミュージシャンあたりまでの話は、ちょっと退屈だったんですね。

 

それが後半、“迷える子犬”のストーリーに入ったところからぐぐぐ~っと核心に迫って来て、映画館に居ながら前のめりになっていました。

 

携帯電話のない昭和の時代から平成までを駆け足で遡っていく展開なので、この時代を生きて来た私の世代は、「そうそう、あの頃はね」なんて重ねて観てた方も居たでしょう。

 

バブルがはじける時期を知っていたら、私も今頃は子犬さんのように大成功したかも知れないのになとか、意味のない想像をしたりもしました。

 

でも、この物語に登場する人たちは、己の利益よりも、大事な人のために奔走したり、命を落としたり、また自分の信念を貫き通すような強い意志を持った人ばかり。

 

ですが、迷いや葛藤がなかったわけではなく、心が折れそうになった時、ナミヤ雑貨店へ出した手紙がきっかけで、本当の自分の心の声に気づき、決意を固めていく、そんな描写が観客の心を打ちます。

 

それが、LINEではなく『手紙』でのやりとりであるからこそ、年代により懐かしく、また新しい感動があったかも知れません。

 

はじめはただのコソ泥かと思われた敦也、翔太、幸平の3人組。

しかし、この3人の生い立ちやナミヤ雑貨店の背景が徐々に明らかになり、やっと1つに繋がるわけですが、この辺りの謎解き、キャラクター其々が抱える過去、心の揺れを実に巧妙に描いていると思います。

 

ネタバレになってしまいますが、空き巣に入った晴美さんの家に向かっていった3人は逮捕されてしまったのかな?と心配になりました。

 

でも、エンドロールでは敦也は医者?か介護士のお仕事をしていたので、晴美が被害届を出さなかったのかな?と推測しますが、また小説の方を読んでみようと思います。

 

小説を読んでから映画を観るか、映画を観てから小説を読むか、をいつも迷うのですけど、『ナミヤ雑貨店の奇跡』に関してはイメージを極端に遜色することはないだろうと思いました。

 

とても良い映画ですよ。

All You Need Is Kill 殺すしかない

■この本を読むことになったきっかけ

 

私が高校生の頃、なんとなくなんでも読みたい時期があり、表紙に惹かれて購入しました。この時、ライトノベルが読みたかったのですが、どれも巻数が多かったり、表紙があまりにも美少女アニメっぽすぎたりして、購入意欲がそそらなかったのですが、この作品はライトノベルにしては表紙が硬派で青年漫画っぽくて異色な感じがしました。

 

絵柄や作品の雰囲気から「ラノベっぽくないラノベ」なのだと思い、手に取りました。何より、たった一巻で話が完結してるというのに魅力を感じました。

 

All You Need Is Killの意味は、「殺すことが全て」「お前の任務は殺す事」のようなニュアンスですかね。

 

物語のあらすじ

 

日本、トーキョーの南方に位置するコトイウシという島は、異星人が地球に送り込んだ「ギタイ」と呼ばれる怪物が侵攻する激戦区。

 

失恋をきっかけに兵士になった初年兵のキリヤ・ケイジは、初出撃で自分以外全滅という絶望的な戦闘を経験する。

 

死に物狂いの中、『戦場の牝犬(ビッチ)』と呼ばれているリタ・ヴラタスキと出会い、援護を受けながらアンテナ付きのギタイと相討ちになり戦死してしまいます。

しかし、戦闘で死んだはずなのに目が覚めると『初出撃の前日の朝』に戻っているという不思議な現象に見舞われます。

 

出撃しても、脱走しても、拳銃自殺しても、意識が戻ると必ず同じ日に戻っている事に気付きますが、同時に記憶や経験は白紙に戻らず、すべて蓄積されている事にも気付きます。

 

ギタイは毎回行動を少しずつ変化させながらケイジを殺していきますが、ケイジもまた何回、何十回とギタイと対峙し戦死する中で様々な事を学んで腕を磨いていきます。

 

そんな中、リタ・ヴラタスキと再会した時「おまえ、いま、何周目……なんだ?」と問われます。

 

なんとリタもケイジと同じ時間のループを経験した事があったのです。

リタはどうすれば時間のループを脱出できるかをケイジに教えますが、その方法をもってしてもループからは抜け出せませんでした。

 

リタとケイジはループをしすぎて、どちらも情報を過去に送信するためのアンテナの役割を担ってしまっていたのです。

 

どちらかが死なない限り、ループからは脱出できない。ギタイに基地が襲撃され戦いが激化していく中、リタとケイジは互いの明日を賭けた一騎打ちをします。

 

勝負はケイジが勝利し、死んでいくリタに自分の思いを伝え、生き残ったケイジはリタと同じようにギタイと戦い続ける道を選んで生きていく決意をしました。

 

■感想

 

SF小説ですので、専門用語が多いかと思ったらそうでも無かった小説です。本作はSFではありますが、あくまでもライトノベルですので、人を選ぶようなコテコテのSF用語は登場しません。

 

たいしてSFに詳しくない私の感覚で言うと「スターウォーズよりも優しいSF作品」といった感じです。

スターウォーズよりも優しいSFですが、戦闘シーンが非常に多いのと主人公のケイジがループ中に何度も命を落とすので、少々グロテスクな表現が多用されています。

 

しかしそのようなシーンが多いにも関わらず嫌悪感を覚えないのが、この作品の凄いところです。文章から硝煙の匂いがするというか、泥臭さを感じられる文章がテンポ良く続き、アクション映画さながら興奮を感じながら読み進めることが出来ます。

ライトノベルの文章は、一般小説と異なる部分が多く雰囲気や心理描写を重要視しているものもあります。

 

ものによってはそれがくどくて、読むのに飽きて来る作品もありますが、本作は文章そのものの軽快さ、泥臭さ、グロテスクさが作品のシリアスさや世界観の荒み方を一層際立たせています。

物語全体がハリウッドのB級アクション映画や戦争映画のような感じです。とても下品な下ネタや口汚い罵倒や、えげつないジョークも登場します。

 

この辺りに耐えられるかどうかで、この作品が好きになれるかが決まると思います。

私が個人的に感じたことですが、クエンティン・タランティーノ監督の映画が好きな人は多分好きになれるんじゃないかと思います。

 

ちなみに、本作は実際にハリウッドで映画化されています。

 

主演はなんとトム・クルーズ。日本のライトノベルが気に入られ映画化されるというには異例の事で、日本でも大々的に取り上げられました。

 

映画版のタイトルは『Edge of Tomorrow』、邦題は『オール・ユー・ニード・イズ・キル』。

 

『Edge of Tomorrow』の意味は、今日と明日の境目?ってことでいいのでしょうか。
殺すことに失敗して、自分が殺されたら、そこで今日はリセットされ、また次の人生がスタートする。任務を終えるまでエンドレスという過酷な生活環境ですよね。

 

主演俳優を見て分かる通り、原作のキリヤ・ケイジよりだいぶ年上の主人公に設定が変更されています。

 

ヒロインのリタも原作では、赤毛のアンのような可愛らしいツンデレ系美少女でしたが、映画では凛とした大人の女軍人です。

 

良くも悪くもハリウッド的なキャラクターやストーリーに変更されているところは多々ありますが、娯楽映画としては非常に面白いです。原作と見比べてみるのも良いかもしれません。

 

本の中で気になった言葉、セリフ 1シーン

 

物語の終盤、ケイジとリタは一騎打ちをします。勝った方しかループから脱出できないため、真剣勝負です。戦いはケイジが勝利して終わりますが、血を流して弱っていくリタに

「ぼくはきみが好きだ。だから……だから、きみが死ぬまでそばにいよう」

と言います。

 

この台詞、リタとケイジが初めて出会った時と被っているのです。ケイジがループにはまってしまうきっかけになった戦闘で、リタが傷つきボロボロになったケイジに対して

「自分の名前はリタ・ヴラタスキ。お前が死ぬまで、そばにいよう」

と言っています。

 

あの頃と二人の関係は全く違うものになっていますが、戦友でもあり相思相愛の仲でもあるケイジとリタが一緒になれない切なさを感じる台詞だと思いました。

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