
映画『ナミヤ雑貨店の奇跡』感想
テレビのドラマや映画では観たことあるけど、小説自体はまだ読んだことはないんです。この度映画を観たので原作も読んでみたいと思いました。
“東野作品史上、もっとも泣ける感動ミステリー”
こんなキャッチフレーズがついているので、ずっとずっと気になっていた小説ではあったのだけど、ミステリー小説と「感動」と「涙」という言葉がなかなか結びつかなかったかったんですね。
映画を観た感想は・・ミステリーじゃなくて、ファンタジーですよね。
そして敦也役を演じた山田涼介くん(Hey! Say! JUMP)がカッコイイ。
映画では『暗殺教室』の実写版でもお顔は拝見しております。
少し前までは、カワイイだけのアイドルかと思っていたら、予想外に成長していて、いい役者さんになりましたねえ!オバサンもびっくりです。
私が持ってる山田君のイメージは、スイーツ好きの今ドキ男子という印象が強く、今回の悪ぶった役とのギャップで少なからず驚かされました。
どっちが素と近いんだろう?とか、そんなことがむちゃくちゃ気になりました。
俳優としての山田涼介については、映画界の大御所・西田敏行さんに「ジェームズ・ディーンの出現に近いものを感じる」と言わしめたのだから本物です。
とにかく、初めから最後まで見惚れちゃいましたね(笑)
肝心の物語の方はどうなんだ?というと、色々な人の思いや切なさ、優しさがじわじわ~と心に沁み入り、『東野作品史上、もっとも泣ける感動ミステリー』のキャッチに偽りはないでしょう。
またlineやメールではなく、手紙が持つ本来の役割をも、そっと現代人に伝えてくれてるような気がします。
心を打つ手紙を扱った作品と言えば、小川糸さんの『ツバキ文具店』を思い出します。
あの小説もやはり、手書きの【手紙】です。タイムスリップはしませんが、何かが降りて来ます(笑)
この辺りの意味するところは、やはりスマホやSNSへ対する何かですかねえ?
さて、映画ナミヤ雑貨店は、いきなり3人の強盗シーンから始まって、雑貨店に着いたらシャッターの向こう側は昭和の時代に逆戻りしていて、そこから何人かと手紙のやりとりが始まるのですが、魚屋ミュージシャンあたりまでの話は、ちょっと退屈だったんですね。
それが後半、“迷える子犬”のストーリーに入ったところからぐぐぐ~っと核心に迫って来て、映画館に居ながら前のめりになっていました。
携帯電話のない昭和の時代から平成までを駆け足で遡っていく展開なので、この時代を生きて来た私の世代は、「そうそう、あの頃はね」なんて重ねて観てた方も居たでしょう。
バブルがはじける時期を知っていたら、私も今頃は子犬さんのように大成功したかも知れないのになとか、意味のない想像をしたりもしました。
でも、この物語に登場する人たちは、己の利益よりも、大事な人のために奔走したり、命を落としたり、また自分の信念を貫き通すような強い意志を持った人ばかり。
ですが、迷いや葛藤がなかったわけではなく、心が折れそうになった時、ナミヤ雑貨店へ出した手紙がきっかけで、本当の自分の心の声に気づき、決意を固めていく、そんな描写が観客の心を打ちます。
それが、LINEではなく『手紙』でのやりとりであるからこそ、年代により懐かしく、また新しい感動があったかも知れません。
はじめはただのコソ泥かと思われた敦也、翔太、幸平の3人組。
しかし、この3人の生い立ちやナミヤ雑貨店の背景が徐々に明らかになり、やっと1つに繋がるわけですが、この辺りの謎解き、キャラクター其々が抱える過去、心の揺れを実に巧妙に描いていると思います。
ネタバレになってしまいますが、空き巣に入った晴美さんの家に向かっていった3人は逮捕されてしまったのかな?と心配になりました。
でも、エンドロールでは敦也は医者?か介護士のお仕事をしていたので、晴美が被害届を出さなかったのかな?と推測しますが、また小説の方を読んでみようと思います。
小説を読んでから映画を観るか、映画を観てから小説を読むか、をいつも迷うのですけど、『ナミヤ雑貨店の奇跡』に関してはイメージを極端に遜色することはないだろうと思いました。
とても良い映画ですよ。