• 投稿 2017/09/03
  • 小説

燃え尽きるまでを読んだ感想

 

この本を読むきかっけになったのは、本好きのお友達に「恋愛小説」でおすすめの本はないか?と聞いたところ、『燃えつきるまで』を勧められました。

 

唯川恵さんの小説を読むのはこの本が初めてです。

 

読み終わった後はタイトル通り、まさに「燃えつきてしまった」という感じ。

無事に現実に戻って来ることができて良かったとさえ思いましたね。

 

こんなこわい恋愛小説を読んだことがなかっただけに、とても印象に残っている作品です。

 

でもこの脱力感がたまんね~( ´∀`)

この快感に目覚めた女性が唯川の小説の虜になるのかも知れません。

 

主人公の玲子が徐々に壊れていく描写がリアルで、こわいんだけど、読むのを止められないんですよね。

後半は、ほとんどホラーと思えるほどで、え?え?あの聡明な玲子さんがどこまで堕ちていくの?このまま進んだらどうなってしまうの??

 

いつの間にか、どっぷり小説の世界に入り込んでしまい、ハラハラしました。

 

勿論、執着に支配された主人公の怜子が元彼やそのパートナーにしたことは許されることではないと思います。

それと、私自身、怜子の行動には共感できません。フラれたくらいで、あんなことになるかな…と疑問に思ったくらいです。

 

でも、なぜか、彼女のあらゆる感情とリンクしてしまいました。

正直に言って、読み進めるにはかなり体力のいる作品です。

 

失恋によって精神が不安定になっていく様、生活がボロボロになっていく様、理性が狂っていく様が目の前で繰り広げられるので、読破するには覚悟が必要かと。

 

数々の恋愛を書いてきた唯川さんにしか書けない、失恋小説でした。

ラスト、怜子が落ち着きを取り戻すきっかけをどう思うかは、その人がどう生きてきたか、価値観や経験値に左右されるでしょう。

 

『燃えつきるまで』著者:唯川恵 313ページ

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『燃えつきるまで』本の内容

恋も仕事も順調だった三一歳の怜子は、五年付き合い、結婚も考えていた耕一郎から突然別れを告げられる。失恋を受け入れられず、苦しむ怜子は、最優先してきた仕事も手に付かず、体調を崩し、精神的にも混乱する。そして、友人の「好意」から耕一郎に関するある事を知らされた怜子は…。絶望から再生までを描き、誰もが深く共感できる失恋小説。(引用:Amazon.com)

 

失恋のつらさ、元恋人への憎しみや怒りを、こんな風にここまでして燃えつきさせないと、主人公・怜子は新しい一歩を踏み出せなかったのですね。

 

読み終えた後にタイトルを噛み締めると、やるせなさがこみ上げてきます。怜子という人間の脆さが、全編を通してつらいです。

 

復讐のシーンでも、ありえないことをしているのは怜子なのに、自分の中の憎悪が元彼に向いていました。それに気づいた時、結構ぞっとしました。怜子には共感できないと思っていましたが、自分にも怜子になる瞬間や可能性があるのだと…。

 

さすがの唯川さん。とにかくリアルで、痛いです。どんなラストを迎えるのか、できることならハッピーエンドを、と思っていたので、この作品の結末にはほっとしました。あっさりとしたラストですが、私は納得しました。

 

怜子のマイナスの感情が燃えつき、燃え滓が飛んでいくようなイメージでした。

 

怜子の傷が深くなったのは、切り出された別れの理由がはっきりしなかったことではないでしょうか。

 

「理由が思い当たらない」という時点で「何が悪かったのだろう」と自分を責め、今まで自分の全部を許してきた人に突然、自分を全否定されたような気になるのだと思います。

 

失恋って自己否定ですよね。怜子に降りかかった別れ話は本当に理不尽です。だからと言って、怜子と耕一郎の恋愛は、耕一郎がダメだと思った瞬間に未来がなくなっていたでしょうし、誰のせいでもありません。

 

そういう恋愛の残酷さがとてもよく描かれています。

 

購入前の注意点

 

失恋したばかりだったり、同じようなマイナスの感情を抱えている人は、傷が深くなってつらい読書になるのではないでしょうか。

 

恋愛小説といっても、女性の嫉妬心、歪んだ愛がテーマなので、ピュアでハッピーなラブロマンスが好きな人はうっかり読まないように。

 

ネタバレ

 

・主人公は31歳の怜子。恋も仕事も順調で「あとは結婚だけ」という交際5年目のある日、恋人の耕一郎から突然別れを告げられる。

・突然の別れに絶望する怜子。体調まで崩してしまい、そのせいで仕事も失う。

・さらに追い打ちをかけるように、耕一郎はさっさと新しい恋人を作り、妊娠を機に結婚。

・それを知った怜子は心のバランスを崩し、とうとう凶行に及ぶ(被害妄想・ストーカー)

・ある人からの電話がきかっけになり怜子は「自分だけが不幸な訳ではないし、自分より不幸な人はいっぱいいる」と思い至り、落ち着きを取り戻していく。