マスカレード・ホテル映画化に向けてひとこと
東野ミステリーがまたもや映画化です。
まだまだ東野作品の勢いは弱まりませんね~。
主演は木村拓哉さん。
主人公・新田浩介は「若きエリート刑事」ということで、年齢設定が本の中では30代半ばとなっております。
なので、この「若き」の部分がちょっと引っかかります。
私は、この作品を読んだとき、もしマスカレード・ホテルがが映画化されたら、新田役は松坂桃李、あるいは小栗旬がいいかな?と勝手にイメージしていたので、キムタクがやると聞いて「ええー?それちょっとイメージちゃうやん?」と叫んでしまったです。
他のキャストがまだ発表になっていませんが、
木村拓哉がやると聞いて、稲垣一課長は松重豊さん(遠藤憲一さんでもいい)、能勢役は小日向さん、片桐瑶子は松たかこさんでやったら笑えるなと。
総支配人の藤木役は竹野内豊と堺雅人さんが浮かんだんですけど、佐藤浩市さんが警察か、ホテル側の上司役で出て来そうな気がする。
正直、もう見たくないな >佐藤浩市
上記は、あくまで私の思い描いたキャストです。早く決まるといいですね。
キムタクが刑事とホテルマンの2つの顔をどう見せてくれるのか、楽しみでもあります。
山岸直美役は長澤まさみさんです。まあまあ文句はないですが、
まず、この作品の世界にどっぷりと入り込んで満喫するには、とりあえずリアリティ云々をすっ飛ばして読み始めた方がいいです。
そもそもエリート刑事がホテルに潜入…という設定がまるっとフィクションですし、そこが問題ではありませんので。
しかし「なぜホテルのみが舞台?」という部分は最大限に生かされていると思います。
犯人も、犯人のターゲットもわからない…事件が起こる場所だけが判明しているという特殊な状況でのストーリー、コンパクトにまとまらず、結構ハラハラ・ドキドキできました。
さらに、ホテルのお客たちが、実に人間臭くてチャーミングなんです。
「誰がどう事件に関わっているのか…」読者側も気が抜けません。
ホテルならではの、人の流れ。
このキャラたちを軸とする人間関係が事件に絡んでいく様も実に緻密で、毎度のことながら東野先生に唸らされました。
伏線の回収っぷりも見事ですよ~。
ページ数はかなりありますが、サクサクと一気に読み進められます。
あとは、東野作品ファンにとっては「新コンビ誕生」がうれしいところでしょう。
若さで突っ走るエリート刑事・新田と、自分の仕事に誇りを持つホテルのプロ・フロントクロークの山岸。
少しずつ二人の信頼関係が築かれている様子も良かったです。
プラス、新田の成長や変わっていく姿も丁寧に描かれていて、好感が持てました。
新田の刑事とホテルマンという2つの顔、そして内容的にもミステリーとホテルものという2つの顔がある、読み応え満点な小説です。
展開がどちらかに偏ることもなく、バランスの良さに感服させられます。
ただし、ホテル業務に関してはかなり専門的。
よくぞここまで調べ切ったな、と東野先生の恐るべき取材力を見せつけられた感じです。
タイトルのマスカレード・ホテルの意味は?
舞台となるホテルの名前は「コルテシア東京」なのに、タイトルは「マスカレード・ホテル」…?
全編を通して、間違いなくキーになるのはこの「マスカレード=仮面舞踏会」の「仮面」。
自身でも推理を重ねながらページをめくっていくと、どんどんと作品の深みにハマッていくでしょう。
2.『マスカレード・ホテル』著者:東野圭吾
520ページ
3.本の内容
『マスカレード・ホテル』
都内で起きた不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、二人は真相に辿り着けるのか!? 大人気シリーズ第1弾のミリオンセラー。/登場人物紹介/山岸尚美ホテル・コルテシアのフロントクローク。人の役に立ちたいと思い、昔からホテルで働くことを夢見ていた。徹底したプロ意識を持っており、努力を惜しまない。並外れた観察力と記憶力でお客様をもてなし、お客様の“仮面”を守ることを信念としている。/新田浩介警視庁捜査一課所属の若きエリート刑事。国際弁護士の息子で、十代の前半の二年あまりをロサンゼルスで過ごす。知能犯との対決を夢見てこの世界に入った。生意気なところがあり、先輩刑事と衝突することも。大胆な発想力と行動力で事件解決に貢献する。(引用:Amazon.com)
4.『マスカレード・ホテル購入前の注意点』
「設定は安直、トリックは無理やり」という印象です。スリル満点のミステリーというよりは、ドタバタ群像劇?ホテルのお客のアレコレという感じは、ちょっと期待外れでした。それほど珍しくもないホテルものだったせいで新鮮味に欠けていたのも残念。読みやすさ重視なのか、持ち味の重厚さもあまりなかったような…。このライトさ、最近の東野作品の傾向なのでしょうか?
以下↓ネタバレがありますので原作を読んでない方は注意してください
5.物語のキモ・ネタバレ
※結末を知りたくない人は読まないで※
・都内で3件続いている連続殺人事件。次の犯行現場は高級ホテル「コルテシア東京」とわかった。
・ホテルマンに扮して「コルテシア東京」へ潜入捜査に入る、若手エリート刑事・新田。その指導と補助の役割を任されたのはフロントクローク・山岸。
・初めは捜査のことばかり考えてホテルマンとしての仕事をしっかりしなかった新田だが、山岸の熱心な新人教育や仕事への情熱に心を打たれ、次第に変わっていく。
・そんな中、ホテルには面倒な客が次々と訪れる。客たちと接しながら、ホテルの関係者にも目を光らせつつ推理していく新田。
・所轄の品川警察署の刑事・能勢も新田のサポートにつく。
・やがて過去の3つの事件を紐解いていくと、それぞれの事件の容疑者はバラバラで、闇サイトで知り合っただけの人物たちということがわかった。
・それを取りまとめていたのが「X4」という人物で、このX4がコルテシア東京で事件を起こそうとしていることを突き止める。
・ここで捜査は行き詰るが、週末に予定されているとある結婚式に注目が集まる。この結婚式に関する不審な電話がかかってきたため。
・しかし新田はホテルの仕事を続けるように指示され、捜査からは外された。
・そして新田がうっかり口を滑らせたことにより、捜査や事件について知る山岸。ホテルの大事な客を囮にすることはできないと反発するが、新田に説得され、捜査の計画が進められている週末の結婚式が終わるのを待つことに。
・新田はふと、予告されている事件はカモフラージュなのでは?と気付く。能勢にも協力してもらい、真犯人に近付いていく新田。
・式の前日に届けられたワイン、能勢が見つけてきた未解決の殺人事件、その被害者・松岡に関する情報。それらを推理した結果、盲人のふりをしていたホテルの客「片桐瑶子」という人物にたどり着いた。
・しかし、時すでに遅し。片桐瑶子という老婆を演じていた、真犯人であるX4=長倉麻貴によって山岸に危険が迫っていた。長倉のターゲットは山岸だったのだ。
・犯行理由は1年前のホテルでのトラブルの逆恨みとも言えるもの。新田は長倉と山岸の行方を追いかける。