
私の感想
まず、ストーリーに関することから述べたいと思います。
第1章は【ランチのアッコ】ちゃんで、第2章は【夜食のアッコちゃん】へと続くのですが、【夜食のアッコちゃん】では、なんとアッコちゃんと美智子が働いていた「雲と木社」は、倒産した・・ってことになっていて、美智子は商社の派遣社員に転職してました。
えらい話飛ぶのですね!
あの時の美智子の企画書はパアになっちゃったのね。
続きは無しです(笑)
それでもって営業部長だった黒川敦子(アッコちゃん)は、「東京ポトフ」っていうワゴン者で移動するお弁当屋さんに転身していて、第一章のランチのアッコちゃんのように一週間の間に様々な職業の方と関わっていく中で、美智子が成長していくってお話です。
人気の作品になっていたので、気になって読んでみたのですが、結果から言えばそこそこ楽しめた作品です。
ただ、出来過ぎ感も強くて、これは、感想も両極端に別れる作品ではないでしょうか。
そんなの現実に起こりっこないじゃん?とツッコミを入れたくなる人はけっこういるかも?
まあ、でも大人向けのおとぎ話でいいじゃないですか!
世の中、何でもかんでもリアリティ&リアリティじゃ気も滅入ってしまいますよ…。
あらすじの煽り文にもあるように、この小説は「ビタミン」なのです。
シンプルに元気をくれる爽やかな小説って、それだけですごい作品だと私は思います。
人の心をプラスに動かすって、とても難しいことだと思うので。
ありえない設定や展開にツッコむのは二の次にして、もっとあたたかみを感じてみてはいかがでしょうか?
何気なく背中を押してくれるような「ささやかさ」が素敵でした。
それと…、アッコ先輩に会ってみたいです。
どんなアドバイスをもらえるんですかね?
ランチのアッコちゃん (双葉文庫) [ 柚木麻子 ]
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ランチのアッコちゃん』著者:柚木麻子
166ページ
3.本の内容 あらすじ
『ランチのアッコちゃん』のレビュー・評判
読み終わった後、何だかちょっと前向きになれます。
サクサクと読める4篇の短編集です。直接的に元気になる方法を教えてくれる訳ではないのですが、なぜか背中を押してくれる温かい感じがとても印象的でした。
まさに「ビタミン小説」ですね。フラれて落ち込んでいても、美味しいランチで気分転換。単純だけど、こういう良い意味での軽さが大切なのではないでしょうか?
また、いろいろなタイプの女性が描かれているのが面白かったです。表現にリアリティがあってキャラクターに親近感が湧きましたし、共感もしやすかったです。美味しいご飯や他愛もない会話で元気が出た経験、誰にでもありますよね?
逆にストーリーや設定には少しリアリティが欠けているんですけど…。そこを楽しむくらいでないと、頭がカチカチ過ぎる気がします。
おとぎ話だと割り切って、うまくいきすぎな展開もいっそ笑い飛ばしてみて下さい。意外とそこから「見方を変えれば世界が変わる」ということを実感できるかもしれません。実はここがポイント。
段々と「見方を変えれば世界が変わる」のは小説の中だけではなくて、自分の身の回りにだってあてはまるということがわかってくるのです。この作品を読むと、そんなフシギ体験ができます。
決して重厚さはありませんが、その軽さがこの本の持ち味です。軽いからこそ、疲れた時に丁度良く読めますし、ほっとしたり気分が明るくなったりもします。
読んだ人みんなの心に効く一冊でしょう。
予定調和な演出や展開をファンタジーとして楽しめない人。あと、グルメがメインではないので、注意が必要です。
物語のキモ・ネタバレ
・「ランチのアッコちゃん」の話は短編集の1話と2話。
・アッコちゃん、とは主人公の上司・黒川敦子のこと。主人公はパッとしない派遣社員・美智子。
・彼氏にフラれた美智子がオフィスで元気なく昼食の手作り弁当を食べていると、上司である黒川に「一週間のランチ交換」を持ちかけられる。その日から、美智子は弁当を黒川に渡し、代わりに黒川に指定された昼食をとるランチタイムが始まった。
・最初は嫌々だった美智子だが、指定された店に足を運ぶうちに少しずつ楽しくなってくる。やがて、ランチタイムの人とのふれあいを通して、黒川からのメッセージに気付き、パッとしなかった美智子の人生が変わっていく。
・第2話は二人の会社が倒産。美智子は別の会社へ、黒川はポトフの移動販売を始める。新しい会社での悩みを抱える美智子が黒川と再会し、その仕事を手伝うことになる。